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[日販商品データベースより]
【序より】(抜粋)
植物には名前がある。しかし、その名前には漢名、和名、学名、通称、別称……と、様々な種類がある。そして、それらの多様な名前が指し示す植物の実体は単純ではない。同じ植物であっても、時代や地域によって、名称に違いが生まれる。だから、相互の関係を正確に捉えることは至難の業である。「名物学」という学問は、この問題に対応しようとしてきたが、未だその成果が十分に蓄積されたとは言い難い。
また、漢名については、用いられる漢字についての形・音・義にわたる分析も重要である。そこから名称の原初的な意味が明らかになる場合がある。つまり、「文字学(漢字学)」と「名物学」の連携も重要だということになる。
無論、それぞれの植物の形態や生態の特徴、あるいは有用性などについての知識が前提として蓄えられていなければならない。そこには「生物学」や「本草学」、そして諸分野の伝統文化についての知識が必要となる。そうした各方面の知識が総合されてはじめて、植物の実態が伝わってくるように思われる。
本書は、さまざまな植物の、さまざまな生活との関わりを記すことにも注力した。……随所に植物に対する人々の濃密な関わり方と、そうした文化の伝統を記すように努めたので、味わっていただければ幸いである。