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[日販商品データベースより]
〜はじめにより〜
朝露に光をまとった畑の野菜。水を張った銀色のボウルの中で、野菜と一緒に揺れる光。いつものように繰り返される、食べることにまつわる当たり前の営みの中で、ふいに、愛おしい瞬間に出会うことがあります。それを見逃したくなくて、今日も台所と畑を行ったり来たりしています。写真家が一瞬の光を切り取るように、絵描きが何気ない果物に感情を宿すように、日常の中にある美しさに気づけたとき、胸の奥が、うれしくなります。気候や風土が育む植生や営み、文化。ときには災害さえも通して、この惑星は、私たちに問いを投げかけてきます。
環境という言葉の中に、自分自身も含まれていることを、私たちはつい忘れてしまいます。だから、問いをやめないでいたいのです。平和とは何か。幸せとは何か。自然と人は、どんな関係であり得るのか。
答えがなくても、今日もお腹はすきます。それでも考えることをやめずに、空の様子を伺い畑に出よう。
食べること、暮らすことが穏やかにつづいていくことを願いながら、つくって、食べて、考える。
その一連の営みを、私たちは「研究」と呼ぶことにしました。
面倒なこと。手間のかかること。終わりの見えない繰り返し。自分の手でやってみると、想像以上に大変で、笑ってしまうほど手こずります。
できないこともあるし、専門的な技術や道具、守るべきルールもあります。それでも人に助けられ、学びながら進むうちに、出会う人すべてが、特別に見えてきます。そのプロセスの中で、普段は見過ごしてしまう気づきや発見、奇跡としか思えない感謝が、静かに立ち上がり、記憶にのこります。それが、ただ楽しい。だから、やめられない。時代とともに、味わいや価値観は変わっていきます。より持続可能で、環境に無理のない、身体感覚を軸にしたあり方へ。
私たちは、「美味しすぎない美味しさ」を大切にしたい。
生産者と消費者の境目がゆるやかになり、いつまでも、美味しくて面白い関係が続くこと。自分という、いちばん近い環境から整え、その感覚を、どこまでも自分ごととして広げながら、いつものレシピと、考えをまとめました。この本が、暮らしの中に小さな余白と、ささやかな幸せの種を残せたらうれしいです。〜「たべるとくらしの研究所」〜