- 変化する東アジアの高等教育
-
国際化と人材育成の視点から
山口大学東アジア研究叢書 8
九州大学出版会
山口大学大学院東アジア研究科 高橋俊章 山本冴里- 価格
- 4,180円(本体3,800円+税)
- 発行年月
- 2026年03月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784798503974
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[BOOKデータベースより]
アジア発・高等教育国際化論。留学・言語教育・職業教育の具体的事例から人材育成の現在と未来を多角的に描き出す。
第1部 留学と国際教育:国際流動性時代の人材育成の基盤としての留学(中国における大学間の留学志向の比較;中国の大学生が感じる国外(日本)留学のボトルネック;ベトナムの高等教育機関による日本語教育の役割と課題)
[日販商品データベースより]第2部 言語教育と文化的背景:多言語・多文化社会への適応力を高めるための言語教育の役割(台湾人学習者にとっての日本語無標識可能表現;外国語学習における動機付け要因:バリ人と日本人EFL学習者の比較研究;交換留学生の共同調理場面における即興的・創造的な言語使用―言語規範の拡大と造語に注目して)
第3部 職業教育と専門知識・スキル:AI・デジタル時代における専門知識とスキル育成の最前線(高等教育におけるICT・AI活用の現状と今後の可能性;統合型オンライン学習プラットフォームと協働学習アプローチによる職業教育の強化)
本書は、グローバル化とデジタル化が加速するなかで、東アジアの大学が直面する国際化の動向と人材育成の課題・可能性を、実証研究と教育実践の両面から立体的に描き出すものである。留学、言語教育、職業教育という三つの柱を通じて、「誰が、どのような条件のもとで、どのように学び、成長しているのか」という問いに迫る。
第T部では、まず中国大陸の大学を階層に分け、留学機会や留学先、学生の留学志向の違いを分析し、大学間での留学格差と「エリート留学」をめぐる神話の変容を明らかにする。ついで、中国の二本大学である?坊学院を事例に、日本語学科卒業生の日本留学率がきわめて低い理由を、言語能力・経済状況・情報アクセス・適応不安・提携校不足などのボトルネックとして整理し、留学支援政策のあり方を具体的に検討する。
第U部では、まずベトナムの高等教育機関における日本語教育の歴史と現状を概観。日本語専攻の拡大と人材ニーズの変化を跡づけ、課題も明らかにする。続く章では、台湾人日本語学習者を対象に、中国語との構造差や文化的慣習の違いが学習に与える影響を検討する。また、インドネシア・バリと日本のEFL学習者を比較し、英語学習動機に影響を及ぼす要因を明らかにする。さらに、交換留学生による共同調理場面での日本語使用に着目。文化的背景・経験を示しながら、互いに即興的に意味を構築しあう過程で生じる創造的な言語使用が生み出す効果を見る。
第V部では、まず、日本の教員養成や職業教育を中心に、Society 5.0 や OECD ラーニング・コンパス2030などの枠組みを参照しつつ、VUCA時代に求められる資質・能力とICT・AI活用の方向性を整理する。続く章では、日本の専門学校・高専・専門職大学等の職業教育システムを概観したうえで、オンラインプラットフォームや協働学習アプローチを組み合わせた教育実践、さらにはインドネシアの土木工学教育におけるICT活用の事例を紹介し、実践的な人材育成モデルを提示する。
終章では、これら各章の知見を踏まえ、東アジアの高等教育に共通する課題と多様性を横断的に整理。留学機会の不平等や言語・文化能力の格差、デジタル技術へのアクセスの違いは、国や大学の境界を越えて複雑に絡み合っており、その克服が今後の人材育成を考えるうえでの鍵となる。また、言語教育や職業教育の現場における創造的実践は、単に「技能」を教えるにとどまらず、異文化理解や協働的問題解決力といった、グローバル社会を生きるうえで不可欠なコンピテンシーを育む営みとして再評価されるべきであることが示される。
本書は、東アジアの高等教育研究に携わる研究者や大学関係者だけでなく、国際教育・日本語教育・英語教育・職業教育に関心をもつ実務家や学生にとっても、多様なケーススタディと理論的枠組みを提供する。国境を越えた人材育成の協力や、大学・地域・産業界の連携を構想する際の、理論的かつ実務的なガイドブックとして活用できる一冊である。