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[日販商品データベースより]
炎に魅せられた蛾は、炎の周りを飛び回るが、ついに意を決し炎に飛び込む――そのとき蛾は神と合一する。このスーフィズムの寓話とベルグソン哲学の関係とは何か?またこの寓話は、中島敦とどう結びつくのか?小林秀雄はなぜ「学問をしているやつが一番馬鹿だ」と言ったのか?またプラトンや本居宣長、漱石との関係は?そしてそもそも「研究」とは何なのか?学問界は大いなる《迷信》にとらわれていないか?
本書は『虎の書跡 中島敦とボルヘス、あるいは換喩文学論』(2004年)、『中島敦「古譚」講義』(2009年)につぐ中島敦研究の3作目であり、著者の研究の到達点をしめす快著である。古今東西の文献を渉猟しながら、著者は中島敦が問題とした「思考の外在化」による知識人の醜さを浮き彫りにする。また本書は中島敦の「文字禍」、「名人傳」といった作品解釈に終止符を打とうとするものでもあり、著者の五十年以上にも及ぶ中島敦読解の終着点を示すものである。そして、更に諸議論を経由し続けることで、小林秀雄の《無私》=《内在》論にたどり着くに至る、極めて深い洞察に満ちた一書となっている。近代文学・比較文学領野のみならず、メディア論、今日の社会現象ほか文化総体にまで手を届けんとする書物である。