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[BOOKデータベースより]
日本のビアズリーと称され、谷崎潤一郎『人魚の嘆き・魔術師』の挿絵で名を馳せた画家。大逆事件当時と関東大震災直後の二度、発禁を食らうも、政府を嘲弄し、世相を皮肉った文筆家。その目が確と捉えた震災時の流言と暴力、2.26事件時の関西市井の反応、歯に衣着せぬ帝国美術院展覧会評、そして、生まれ育った東京下町の風景、のぞきからくりに田舎芝居、文楽に歌舞伎役者、はてはライオンの味まで…自称「ヨタ原稿」の絢爛。
introduction 己れを語る
[日販商品データベースより]1 耽美と猟奇(のぞきからくりの思ひ出;若き因果物師 ほか)
2 悪食と諧謔(巨蟒・馬腎・鹿鞭;食ひもの話 ほか)
3 へらず口コラム選―関東大震災から二・二六事件まで(根岸より(震災体験);年頭暴語(復興政策批判) ほか)
4 きわどい創作―時事と鬱屈(破壊の前;追放されたる一夜 ほか)
エピローグ―家郷を思う(随筆 根岸の里;写楽と歌麿にきく)
谷崎潤一郎の『人魚の嘆き』(1919)の挿画、装画で日本文学史にも名を遺す水島爾保布。
世間を斜に視たその江戸っ子は、画業に留まらず、明治・大正・昭和の時代の記録、東京の下町のこと、紀行文、美術・芝居・音楽をめぐる論考、はては小説と、サビの利いた数多の文章を遺した。
明治天皇大葬の夜、関東大震災、5・15事件、2・26事件、国粋主義批判、画壇悪口、ライオンの味……
『統制百馬鹿 水島爾保布戦中毒舌集』(岩波書店)に続く、漫画・漫文も加え、水島爾保布の文業に迫った、類書なき一冊。