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[BOOKデータベースより]
この百年の澱んだ中観解釈を斥け、龍樹はことばに跨って戦いながら、人間の言語思考の広野を疾駆したと分析哲学の視点から論究。
考察1 主述形式の思考と無自性の原則(「語れぬ」ものを「語る」齟齬;分析・総合における概念的思惟と有自性論;「相関的なものは無自性」が原則;間奏曲―言語行為という「遠見の角」)
[日販商品データベースより]考察2 存在の虚ろ化と論理則の見かけの侵犯(無自性論と述語論理;論理則侵犯の許容は泥濘の途;無分別の境地と「八不」)
考察3 無自性観に対する諾否の行方(相対的自性の認否と第二十六章;この種の言語行為がはらむ問題点;詭弁気味の議論・勇み足の議論;思考の言語と『中頌』帰謬法)
龍樹(ナーガールジュナ、150−250頃)は、般若経典に現れた「空思想」を『根本中頌』などの著作によって基礎づけた。しかし、その理解は難しい。龍樹本人が、「本来、ことばでは語れない」とするものを、皮肉にも「ことばで理解させようとする」からである。これまでも、「龍樹―中観派は矛盾律を破ってみせた。ことばを離れ、西洋の論理を超えた」「真実の姿をことばで言い表すとすれば、有でも無でも、非有でも非無でもない。これが真如であると龍樹は観る」「龍樹は矛盾を超えた、
矛盾律にとらわれない、論理(法則)を超えた」などと解釈されてきた。本書はこれらの理解を徹底的に批判し、空思想を言語分析の視点から本格的に考察。言語行為論や記述理論などの分析哲学の成果を縦横に織り込み、百年来の弁証法的解釈を斥けて、思考の理である論理性の尊重ゆえに、馬上の龍樹は電撃的に疾駆(迅速に論理的に思考を進めた)しえたことを解明する。
【目次】
はじめに
考察一.主述形式の思考と無自性の原則
1.「語れぬ」ものを「語る」齟齬
2.分析・総合における概念的思惟と有自性論
3.「相関的なものは無自性」が原則
4.間奏曲―言語行為という「遠見の角」
考察二.存在の虚ろ化と論理則の見かけの侵犯
1.無自性論と述語論理
2.論理則侵犯の許容は泥濘の途
3.無分別の境地と「八不」
〔付論〕 ものとこと―論理性はことばの使用に伴う
考察三.無自性観に対する諾否の行方
1.相対的自性の認否と第二十六章
2.この種の言語行為がはらむ問題点
3.詭弁気味の議論・勇み足の議論
4.思考の言語と『中頌』の帰謬法
あとがき