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[BOOKデータベースより]
日本の“東洋的植民地主義”の下で、台湾人はいかにして自らのネーションの政治的形式を想像し、そこに文化的内容を付与していったのか。その葛藤的過程を描く。
第1章 植民地台湾とナショナリズムの諸理論(台湾ナショナリズムという問い;文献の検討;本書の主張;本書の構成と方法論)
[日販商品データベースより]第2章 差別的包摂―周縁における日本の植民地的国民形成(大日本帝国再考;差別的包摂―周縁における日本の植民地的国民形成 ほか)
第3章 ナショナルになってゆく―政治的闘争と台湾国民国家の言説(一九一九‐一九三一)(割譲―分かたれた想像の出発点;「台湾は台湾人の台湾ならざるべからず」―同化主義と自治主義の相克 ほか)
第4章 ネーションになる―文化的抵抗と台湾民族文化の言説(一九一九‐一九三七)(文化の誕生―一九一九‐一九二一;文化の崩壊―一九二三‐一九二九 ほか)
第5章 東洋的植民地主義下のナショナリズム(台湾と植民地ナショナリズムの“アンダーソン=チャタジー・テーゼ”;沖縄および朝鮮によるテーゼの検証 ほか)
補論
17世紀以来の漢族系移民の入植地であり、清帝国の省であった台湾は、日清戦争後に日本へ割譲され、51年にわたりその植民地支配下に置かれた。本書は、植民地台湾において、ナショナリストたちがいかにしてその空間を自らのネーションとして想像するにいたったのか、それがなぜ祖国復帰を目指す中国ナショナリズムではなく「台湾ナショナリズム」として発展したのかを、その領域的基盤の形成とイデオロギー形成の両面から論じるものである。
日本の植民地主義は、地理的、人種的、文化的に近接する人々を支配し、国民的共同体に従属的に包摂することを目指すものであった。西洋への反動として生じた明治以来の日本の国民国家形成の延長であったそれは、西洋によって再び植民地化されることへの恐怖に囚われていたがために、植民地臣民に同化を迫りつつも、差異を保ち、自らの優越性を維持する必要があった。それは、類似性と差異性を恣意的に操作し、周縁の人々を東洋化することで自らの東洋化に抗う〈東洋的植民地主義(オリエンタル・コロニアリズム)〉であった。
しかし台湾人をして「弱小民族」としての共通の運命を自覚せしめ、台湾を一個のネーションとして想像させたのは、日本の両義的で差別的な包摂にほかならなかった。1920年代に生じた自決的民族の想像は、その後の反植民地闘争や台湾人内部での論争を通じて、洗練された〈フォルモサ・イデオロギー〉として分節化されていった。
台湾ナショナリズムの原点を探る、著者の里程標的論考。