- 日本の人的資本経営が危ない
-
強みを活かした変革の戦略
- 価格
- 2,750円(本体2,500円+税)
- 発行年月
- 2023年02月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784296115891
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[BOOKデータベースより]
人的資本経営が話題になっている。ジョブ型雇用への転換と同様に日本型経営の在り方に揺さぶりをかけているかの様相だが、人的資本情報開示に関する世界的な波に乗って体制を整えても、本質を見逃して市場からは魅力的な投資対象とみなされなくなるリスクをはらんでいる。このままではジョブ型雇用のときと同じく表面的な対応で終わる可能性大だ。本書は、20年以上にわたって人的資本に取り組んできた第一人者が、パーソル総合研究所による最新調査(「人的資本情報開示に関する実態調査」「人事部大研究調査」)にもとづいて海外や他企業の横滑りの模倣ではなく、強みを活かした人的資本経営の実現に向けた日本企業の姿と、カギを握る人事部の在り方を提示する。
第1部 人的資本の論理と戦略(進化の軌跡と国際比較;フレームワークの正しい理解;情報開示の誤解を解く ほか)
[日販商品データベースより]第2部 人的資本を骨抜きにしない論点解明 有識者の視点(人的資本経営は「収益向上」のため―人事部はダイバーシティ&インクルージョンの推進から;人的資本経営を“看板の掛け替え”で終わらせてはいけない―個人の自由と裁量をどこまで尊重できるかが鍵;企業特殊性を最大限に活かす事業戦略と人材戦略を)
第3部 先端をいく企業は何が違うのか 実践の現場の声(KDDI―投資家との対話は学びの宝庫;サイバーエージェント―自社の人材戦略に沿ったストーリーあるデータを開示;SOMPOホールディングス―会社と社員のパーパスを重ね合わせエンゲージメントを向上)
人的資本経営が話題になっている。ジョブ型雇用への転換と同様に日本型経営の在り方に揺さぶりをかけているかの様相であるが、人的資本情報開示に関する世界的な波に乗って横滑りの形で整えても、本質を見逃して市場からは魅力的な投資対象とみなされなくなるリスクをはらんでいる。このままではジョブ型雇用の時と同じく表面的な対応で終わる可能性大だ。
人的資本の概念自体は海外をはじめ日本でも1990年ごろ、すでに存在していた。しかし、それから「失われた30年」の間に日本で積極的に取り組まれることはなく、海外ではGAFAなどの企業が無形資産に大きな投資をしてきた結果、今日の企業競争力の差に至ったと考えられる。日本ではソニーなど限定的であった。今は当時と日本企業を取り巻く環境は異なるが、人的資本経営に関して欧米が先行して日本が後追いである構図は変わらない。
国内では、人的資本の情報開示に向けて各企業が右往左往している。それは海外の動きとともに、外圧といってもいい政官からの指針が、企業に向けていよいよ本腰の人的資本経営を求めるに至ったからであろう。
本書は、パーソル総合研究所が上場企業の経営者、人事部長に実施した最新調査(「人的資本情報開示に関する実態調査」「人事部大研究調査」)にもとづいて、強みを活かした人的資本経営の実現に向けた日本企業の姿と、カギを握る人事部の在り方を提示するもの。客観的なエビデンスによる信頼性がある内容になる。
本書の中心となる第T部では、「人的資本の論理と戦略」と題して、人的資本の本質をつかむために、その源流にさかのぼり、時代背景が異なっても変わらない人的資本の基本構造を示した。日本企業の進化と軌跡をたどりながら、その明暗を分けた日米欧の違いは何か、大きな潮流となりつつあるESG、あるいはSDGsと、これまで取り組まれてきたCSRとは何が違うのか、それぞれの関係性を整理している。また、政府や官庁から次々に打ち出される新しい枠組みに対して、海外動向にも触れながら理解を深めていく。メインバンクガバナンスからエクイティガバナンスへ、株主資本主義からステークホルダー資本主義へとパラダイムが大きく転換している現実を踏まえて、日本企業が他社の動向に意を注ぎすぎて「横滑り」な模倣をすることなく、独自の人的資本経営を営むスタンスと情報開示の在り方を提示している。
後半では、現段階で人的資本経営に取り組む日本企業の実態、あるいはステークホルダーにあたる求職者の関心事項を、客観的かつ多角的な調査を通じて明らかにしている。加えて自由回答に見られる当事者の本音に耳を傾けて、本当に必要な対応を「あるべき論」ではなく、実際に必要な対応として提示する。その上で人的資本経営を推進する中心的存在となる企業の人事部門が、人的資本経営を機能させるために極めて重要となる「戦略人事」を実践できているかどうかを検証しつつ、そこから見出される課題を示し、人的資本経営を実現させるための実効性の高い道筋を明らかにしていく。