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[BOOKデータベースより]
第1章 中国青島から姫路へ(一九一四年)
[日販商品データベースより]第2章 姫路収容所の生活(一)(一九一四(大正三)年)
第3章 姫路収容所の生活(二)(一九一五(大正四)年)
第4章 姫路から青野原へ(一九一五〜一七年)
第5章 青野原の生活、そして休戦へ(一九一八(大正七)年)
第6章 ドイツの敗戦、そして解放へ(一九一九〜二〇(大正八〜九)年)
第7章 文化活動:スポーツ・演劇・音楽
第8章 コンサート・プログラム
第一次世界大戦の中国青島で日本軍と戦って俘虜となり日本各地に収容されたドイツ軍俘虜は、最終的に六ケ所に分散収容された。その一つが兵庫県姫路・青野原であった。徳島県文化財保護審議委員として徳島県鳴門市板東俘虜収容所の指定に関わり、ドイツ軍の俘虜生活を収容所新聞『デイ・バラッケ』を含む貴重な資料を駆使して様々な文化活動を研究する機会を得た。本論はその延長線上に位置している。板東俘虜収容所については、その後、『板東俘虜収容所関係資料 ユネスコ『世界の記録』国際登録』の調査倹討委員会委員として関わることになった。
本論はドイツ軍俘虜の生活と音楽活動を、当時の兵庫県発行の新聞、国立公文書館アジア歴史資料センター防衛省防衛研究所所蔵『欧受大日記』、そしてプリントとして残されていたコンサートプログラムからアプローチしたものである。特に最終第八章にコンサート・プログラムを掲載した。この中には未発表のプログラムもあり、可能な限り判読を試みたが、かなり判読が困難な個所も多く、不完全な部分もある。
俘虜が各分野において技能・技術・知識を持ち合わせていたことで、日本側がその技能・技術の獲得を目指していたこと、さらには音楽や演劇、絵画、造形、サッカーを含む様々な文化・スポーツなどで多彩な能力を保持し、収容中に活発な活動・表現をしていたことも明らかになった。その背景には『第二ハーグ条約』が機能していて、後日の第二次世界大戦時に日本軍が行った俘虜対応とは違っていた。
全国六収容所の中で、姫路・青野原は五百人弱、しかもドイツばかりではなくオーストリア=ハンガリー帝国を主とした国籍をもつ俘虜で構成されていた。その中で小規模ながらも多数の演奏活動を行っていたことは、数々の演奏プログラムから確認できる。
姫路・青野原では収容所新聞が発行されていなかったため、彼等の生活や音楽活動を知るためには、兵庫県下で発行されていた鷺城新聞、神戸又新日報、神戸新聞、そして大阪朝日新聞、大阪毎日新聞、さらには徳島毎日新聞の姫路・青野原関連の記事をベースにした。これらの数百点におよぶ新聞記事、そして『欧受大日記』『ケルンステン日記』、兵庫県加西市および鳴門市ドイツ館提供の写真資料も大きな後押しとなった。
悲惨なヨーロッパ戦線に比べ一カ月で終戦し、必ずしも満足できる俘虜生活ではなかったが、少なくとも人間らしく生きたと思われるドイツ軍俘虜の人間像が少なからず明らかになった。ただ日本での五年余にわたる俘虜生活、そして祖国の敗戦と帰国後の祖国の惨状を眼のあたりにしたショックは、戦争の無意味さ、非人間性を浮き彫りにしている。
(「おわりに」より)