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かんき出版 川本晃司
点
近視の進行からの失明という結末!医療現場の実態と最新のデータからこの危機と対応策を解説。
第1章 新型コロナ禍で進行する「失明パンデミック」(新型コロナの陰で進行する、もう一つのパンデミック;「遺伝」以上のスピードで、近視人口が増えている ほか)第2章 「スマホ」と「近視」(ヒトの目のしくみ;治せる「仮性近視」と、治せない「軸性近視」 ほか)第3章 エビデンスのある、近視の進行抑制法とは(近視抑制法1 近業時間を減らす;近視抑制法2 1日2時間以上の戸外活動 ほか)第4章 行動経済学×近視対策(日本の近視対策は80年前から変わっていない;エビデンスを示されても、実践できない私たち ほか)第5章 スマホとの最適な共存を目指して(シリコンバレーの重鎮は、子どもにスマホを使わせない;「SNSのカリスマ」もデバイス使用を制限 ほか)
「スマホで失明」って大げさな、と思ったあなたへ「はじめに」の「ある高校生に起こった悲劇」だけでも読んでくださいある高校生に起こった悲劇 デジタルデバイスの急速な普及による、「スマホ失明」リスク。その急増の波は、もちろん、日本にも押し寄せています。わかりやすい例が、若い人、特に10代の間で「急性スマホ内斜視」の患者さんが目立つようになってきたことです。内斜視とは、左右の眼のどちらか、もしくは両方が内側を向いている状態のこと。私たちの眼は、近くを見るとき、内側を向く「寄り眼」状態になります。このとき、長時間近くのものを見続けて、寄り眼状態が固定化すると、固定化した視線の先にしかピントが合わなくなります。すると、それ以外の場所を見たときに、二重にダブって見えるようになるわけです。ちなみに急性内斜視は、もともと近視がある人が、長時間、近距離でものを見続けることで、発症しやすい傾向があります。<中略>先日も、私が診療している山口県防府市のかわもと眼科に、16歳の男子高校生がやってきました。お母さんに付き添われてきた彼の訴えは、「黒板が見えない」「教科書が見えない」というものでした。検査結果に目を通すと、裸眼視力は右眼が0・03、左眼は0・04。すでに近視がかなり進んだ状態です。彼はメガネをかけて片眼ずつで見れば、問題なく見えると言います。しかし両眼で見た瞬間に、見えなくなるんだとか。遠くの景色が見えない、授業中に黒板を見ようとすると見えない。教科書やマンガはもちろん、愛用しているスマホも見えない……。彼に普段の生活を聞いたところ、毎日、かなり長い時間スマホを見ていることがわかりました。そのため、眼球が内側に寄った状態で固定化してしまい、片眼だけなら対象物にピントを合わせられても、両眼を使ったときにピントが合わなくなっていたのです。「お子さんの眼は、スマホの使いすぎが原因で、急性内斜視を起こした可能性が高いです。メガネで矯正が可能か、先ほど試してみましたが、矯正はできない様子です。詳しくはこの病気の専門の先生に聞いてみる必要がありますが、手術が必要かもしれません」私がそう言うと、男の子とお母さんの様子がたちまち変わりました。単なる近視だろうと思って受診したのに、まさか手術が必要になるとは思ってもみなかったのでしょう。この段階になって、ようやく二人は、「先生、どうすればいいですか〓」とあせり始めました。<中略>後日、某県の大学病院で手術となりました。ただ……残念なことに、手術をしても、見え方は完全に元通りにはならなかったそうです。彼には、常にものがダブって見える「複視」の症状が残ってしまいました。 人生100年時代という超長寿時代を生きる彼が、わずか16歳の若さでものがダブって見える病気を発症したことは、残り80年の人生の質を、これほどまで大きく下げるのです。
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1位
又吉直樹
価格:1,320円(本体1,200円+税)
【2015年03月発売】
一覧を見る
[BOOKデータベースより]
近視の進行からの失明という結末!医療現場の実態と最新のデータからこの危機と対応策を解説。
第1章 新型コロナ禍で進行する「失明パンデミック」(新型コロナの陰で進行する、もう一つのパンデミック;「遺伝」以上のスピードで、近視人口が増えている ほか)
[日販商品データベースより]第2章 「スマホ」と「近視」(ヒトの目のしくみ;治せる「仮性近視」と、治せない「軸性近視」 ほか)
第3章 エビデンスのある、近視の進行抑制法とは(近視抑制法1 近業時間を減らす;近視抑制法2 1日2時間以上の戸外活動 ほか)
第4章 行動経済学×近視対策(日本の近視対策は80年前から変わっていない;エビデンスを示されても、実践できない私たち ほか)
第5章 スマホとの最適な共存を目指して(シリコンバレーの重鎮は、子どもにスマホを使わせない;「SNSのカリスマ」もデバイス使用を制限 ほか)
「スマホで失明」って大げさな、と思ったあなたへ
「はじめに」の「ある高校生に起こった悲劇」だけでも読んでください
ある高校生に起こった悲劇
デジタルデバイスの急速な普及による、「スマホ失明」リスク。その急増の波は、もちろん、日本にも押し寄せています。
わかりやすい例が、若い人、特に10代の間で「急性スマホ内斜視」の患者さんが目立つ
ようになってきたことです。
内斜視とは、左右の眼のどちらか、もしくは両方が内側を向いている状態のこと。
私たちの眼は、近くを見るとき、内側を向く「寄り眼」状態になります。
このとき、長時間近くのものを見続けて、寄り眼状態が固定化すると、固定化した視線の先にしかピントが合わなくなります。
すると、それ以外の場所を見たときに、二重にダブって見えるようになるわけです。
ちなみに急性内斜視は、もともと近視がある人が、長時間、近距離でものを見続けることで、発症しやすい傾向があります。
<中略>先日も、私が診療している山口県防府市のかわもと眼科に、16歳の男子高校生がやってきました。お母さんに付き添われてきた彼の訴えは、「黒板が見えない」「教科書が見えない」というものでした。
検査結果に目を通すと、裸眼視力は右眼が0・03、左眼は0・04。すでに近視がかなり進んだ状態です。
彼はメガネをかけて片眼ずつで見れば、問題なく見えると言います。しかし両眼で見た瞬間に、見えなくなるんだとか。遠くの景色が見えない、授業中に黒板を見ようとすると見えない。教科書やマンガはもちろん、愛用しているスマホも見えない……。
彼に普段の生活を聞いたところ、毎日、かなり長い時間スマホを見ていることがわかりました。そのため、眼球が内側に寄った状態で固定化してしまい、片眼だけなら対象物にピントを合わせられても、両眼を使ったときにピントが合わなくなっていたのです。
「お子さんの眼は、スマホの使いすぎが原因で、急性内斜視を起こした可能性が高いです。
メガネで矯正が可能か、先ほど試してみましたが、矯正はできない様子です。詳しくはこの病気の専門の先生に聞いてみる必要がありますが、手術が必要かもしれません」
私がそう言うと、男の子とお母さんの様子がたちまち変わりました。
単なる近視だろうと思って受診したのに、まさか手術が必要になるとは思ってもみなかったのでしょう。この段階になって、ようやく二人は、「先生、どうすればいいですか〓」とあせり始めました。
<中略>後日、某県の大学病院で手術となりました。
ただ……残念なことに、手術をしても、見え方は完全に元通りにはならなかったそうです。彼には、常にものがダブって見える「複視」の症状が残ってしまいました。
人生100年時代という超長寿時代を生きる彼が、わずか16歳の若さでものがダブって
見える病気を発症したことは、残り80年の人生の質を、これほどまで大きく下げるのです。