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[BOOKデータベースより]
戦後の日本社会学界を牽引した作田啓一。彼はなぜ文学や哲学などの社会学の外部を参照し続けたのか。その仕事は、社会学という知に何をもたらすのか。半世紀以上に渡る作田の軌跡を辿り直すことで、その思想のアクチュアリティを問う。
序章 作田啓一の“分裂”、あるいは「文学/社会学」という学術的営為
[日販商品データベースより]第1章 「日本社会」という謎―“アノミーと欲望の問題系”と、“罪と赦しの問題系”
第2章 ユートピアとしての“過去”―ルソーにおける「楽園喪失」のヴィジョン
第3章 「種子を蒔く人」―“未来”としての“子どもたち”
第4章 「楽園喪失」の再検討―デュルケムとラカン理論
第5章 瞬間・隙間・偶然性―“他者”の現れる時‐空間
第6章 「死(にゆく)者」、あるいは天使―作田啓一の晩年の思想
結論にかえて―儚い希望の社会学
「生きているということ」は謎である
戦後の日本社会学界を牽引した作田啓一。彼はなぜ文学や哲学などの社会学の外部を参照し続けたのか。その仕事は、社会学という知に何をもたらすのか。半世紀以上に渡る作田の軌跡を辿り直すことで、その思想のアクチュアリティを問う。
作田は「文学」の中でもとくに太宰治などの日本近代文学の作家や、ルソー、ドストエフスキーといったような、一般に「社会不適合者」と呼ばれるような思想家・小説家の仕事を重視した。その結果、……作田が社会を見る際の視座それ自体、社会から〈漏れ落ちる者〉に立脚している。〈漏れ落ちる者〉は、現存する社会から爪弾きにされ、うまく生きることのできない〈捨て犬(stray dog)〉である。〈捨て犬〉の生は弱く儚い。しかし、作田はそのような〈捨て犬たち〉の生(life)に宿る〈力〉が照らし出す「希望」を探し続けた。(「結論にかえて」より抜粋)