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[BOOKデータベースより]
第１章 朝の音
[日販商品データベースより]第２章 文箱
第３章 海亀
第４章 連結
第５章 水輪
第６章 松手入
◆第一句集
一舟もおかず相模の初明り
句集『由比ヶ浜』の俳句は、作者はもとより、読者をも、慰謝し、鼓舞し、賞賛し、祝福する。
これは、俳句形式がそもそも内包し、私たちに授けてくれる、俳句の恩寵の一局面にほかならない。
（「梓」代表 上野一孝）
◆上野一孝抄出十二句
一舟もおかず相模の初明り
梅の花こどもと交はす糸電話
紀の国の月に育ちし鮎にして
一匹となりし金魚の水を替ふ
帰省子の大事な話はじめけり
いと小さき熊手の運を買ひにけり
春待つや人を待つかに豆を煮て
残る鴨いくたび数へても奇数
寒紅やつぶやくやうにものを言ひ
人ごゑを遠くに踊子草の群
まじまじと見てはんざきの目はどこに
待つことのひとつに鴨の渡りあり