[BOOKデータベースより]
青海原の小さな島に、大きな鬼ばばが一人くらしていた。「かまわんとならんもんが、おらんのはええ」といいながらも、島に流れ着くあれやこれやを、ついついひろって世話してしまう…。あるがままに生きるおそろしい鬼ばばの、愛情深い4つの物語。
[日販商品データベースより]すべてをすてても、やさしさはすてられない
青海原の小さな島に、大きな鬼ばばが一人くらしていた。
「かまわんとならんもんが、おらんのはええ」と言いながらも、島に流れ着くあれやこれやをついつい拾って世話してしまう・・・・・・。
第1章 やっかいなもん、ひろうてしもた
第2章 とんでもないもん、ひろうてしもた
第3章 なさけないもん、ひろうてしもた
第4章 うっとうしいもん、ひろうてしもた
あるがままに生きるおそろしい鬼ばばの、愛情深い4つの物語。
【編集担当からのおすすめ情報】
小学生から大人のかたまで、広くお手にとっていただきたい、心に響く物語です。
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“大海原のどまん中、まめつぶほどの小島に、鬼ばばはくらしていた。その体は海を立って歩くほど大きく、ヤブのようなもしゃもしゃの髪を海にひたせば、そこにたくさんの魚が引っかかる。クジラを取って食うほどに強く、その力は、山を叩けばぺしゃんと潰してしまうほど。おばばに、家族はなかった。父親のことは、ぺろりと食べてしまった。きびしい飢えをしのぎ、我が子に乳を飲ますため。そんな子どものことも、住みやすかろう南へ捨てた。鬼ばばの子は大食らいで、ふたりで住めば島が潰れる。「かまわんとならんもんが、おらんのはええ。いつくたばってもええ」それが口癖のおばばは、なにも持たず、たったひとりで生きていた。そのはず、だったのに。”しずかに生きるおばばの元へ、流れてきたのはひとりの若者。潮の流れのせいで、もう帰ることはできないと知らされた若者は、おばばと共に島で暮らす。おばばもかいがいしく若者の世話を焼くが、彼は、いつも彼方の故郷に焦がれていた──「やっかいなもん、ひろうてしもた」おばばが出会ったのは、クジラの腹から飛び出した、ひとりの子ども。その子は「生きているものを殺したくない」と、魚を食べようとせず、次第にやせ細っていった。「それなら人間の土地で、坊主になるほかない」、そう考えたおばばは、危険を犯して人間の暮らす土地へ向かう──「なさけないもん、ひろうてしもた」他二篇を収録した、鬼ばばと漂流者との出会いを描いた短編集。ひとりで生きることを良しとし、招かれざる同居人をうとましく思うおばばですが、それというのも、その扱いや行く末に悩むがゆえのこと。「かまわんとならんもんが、おらんのはええ」おばばの口癖は、裏を返せば「誰かがいれば世話を焼いてしまう」という、やさしい人柄の表れです。「男が弱気になると、おばばはひそかにうろたえた。のどが、ひくひくふるえた。どうしてよいやら、わからないから、自分に腹が立った。男が遠くをながめていると、胸の底がちんと冷えた」「毎夜おばばは、さぶん、さぶん、波のつぶやきを聞きながら、もそもそ起きあがっては、ねむりこけた子どものひたいをなでた」「秋の海はひんやりしていたが、犬がふせているへそのあたりだけは、ぽちりとあたたかかった」オノマトペや、細かな風景描写にさえおばばの秘める人の良さがにじみ出ていて、ほほ笑ましい作品です。しかし、本作で特に胸に刺さったのは、おばばのやさしさよりも、その怒りです。それは、鬼ばばの住む島に宝があると思い込んでやってきた、人間たちに対して抱いたもの。父さえ、子さえ捨てて、それでも生きてきた自分が、いったい何を持っているというのか──島に侵入した盗人たちを前に、腹もはち切れんばかりのおおきな怒りを抱いたおばばは、どうするのか?その決断のやるせなさ、やりきれなさに、つよく胸を締めつけられました。結末の先の余韻まで、切なさ香る一冊です。
(小説家 堀井拓馬)
4つのお話の中で、実はやさしい鬼ばばの姿が浮き上がってくるのですが、阿部結さんの絵と、導入部分のエピソードのインパクトが強すぎました。
小さな島で暮らす巨人のような鬼ばばは、食べるものに困って、小さなお父をぺろりと食べてしまいました。食料が足りないと、小さな赤ん坊を遠くに投げ飛ばしてしまいました。
優しさからは程遠い鬼ばばなのに、流れついた男、老婆、子どもにはなぜか優しいのです。流れついた犬にまで優しいのです。
それは悪行についての贖罪でしょうか。
荒々しく描かれる物語はきれいごとにはならないのですが、変わろうとしている鬼ばばに光を見ました。
誰にも理解されないだろう行動に哀愁を感じました。
でも、こんな不器用な生き方には、どうしても気を緩めてしまいます。(ヒラP21さん 60代・千葉県 )
【情報提供・絵本ナビ】