[BOOKデータベースより]
大きくなって帰ってきてね。アカウミガメのぼうけんものがたり。
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空と見まちがうような、青い海。深い青の色以外には何もないそのまんなかを、ゆうゆうと泳ぐ、岩のような存在感。ハッと目も覚めるような、印象的な表紙の本書は、アカウミガメの産卵を追いながら、その生態と彼らをとりまく環境に迫る、写真絵本です。舞台は、日本でいちばん多くのアカウミガメが産卵にやってくる島、九州の屋久島。たとえば、一枚の写真。明け方も近く、夜空が少しずつ深い青に変わるころ。いまだ夜の底で山並みは黒々と横たわり、その巨大な影を目指すようにして、海へと急ぐアカウミガメの背中。海とも、山とも、砂浜とも、比べるべくもないそのちっぽけな背中は、しかし、転がり落ちる巨岩のような力強さに、満ち満ちています。たとえば、別の一枚では。ほとんど砂に埋もれるようにして、ぽつんと一匹海に向かう、赤ちゃんガメ。砂浜のすぐ向こうに、海が見えます。しかしその小さな体にとって、その距離がどれだけはるかに遠いものなのか、写真は物語っています。1匹だけで泳ぐアカウミガメを、海の中からとらえた写真が、何枚かあります。巨大な孤独と、自由とを、強烈に発散させているそれらの迫力に、ひと目見て押し潰されそうになりました。アカウミガメの産卵と旅路とを見つめる、著者の高久至さんの言葉は、掲載されている写真のダイナミックさとは裏腹です。それは寄り添うようにやさしく、そして新鮮なおどろきに満ちていて、まるで、著者といっしょにウミガメを「おかえり!」と迎えているような、みずみずしい心持ちになってきます。産卵場所にたどり着けず、敵に狙われるかもしれない危険な朝に散乱しなければならない母ガメ。卵から孵れば海を目指し、道中で捕食者にとらわれ、潮溜りに落ちておぼれ、あるいは街灯や車のライトに惑わされて海を見失う、赤ちゃんガメ。すぐとなりに死がある弱肉強食の世界で、しかし、彼らをとらえた写真がこんなにも破滅の気配から遠いのは、彼らが生きることに全力で命を燃やしているからでしょうか。ウミガメをとりまく環境の変化と、彼らを守るためのとりくみについても言及している本書。自然に生きるウミガメの姿を通じて、生き物に対して興味をいだき、自然環境について考えるきっかけとしてはもちろん──ただ懸命に生きるという姿をとらえたほんの一瞬が、どれだけか強く、圧倒的な迫力に満ちているかを、知ることができる一冊です。
(小説家 堀井拓馬)
生まれて海に出てから、同じ場所に戻ってくるのが早くて20年ということに、ウミガメの生き方の壮大さを感じました。
海岸での産卵はニュース等で知ってはいましたが、太平洋を渡る長い長い人生の旅路を初めて知りました。
それをカメラで追い続けるカメラにも気迫を感じまし。(ヒラP21さん 60代・千葉県 )
【情報提供・絵本ナビ】