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[BOOKデータベースより]
戦時下でも消えることのなかった前衛芸術の灯。戦時下の東京、そして京都に暮らした美術文化協会、自由美術家協会、新人画会、東北生活美術研究会などに参加した前衛画家たちはそれぞれのリアリズムを追求した。絵画作品と資料から前衛絵画の一断面を明らかにする。板橋区立美術館・京都府京都文化博物館「さまよえる絵筆―東京・京都 戦時下の前衛画家たち」展公式図録。
1 西洋古典絵画への関心
[日販商品データベースより]2 新人画会とそれぞれのリアリズム
3 古代芸術への憧憬
4 「地方」の発見
5 京都の「伝統」と「前衛」
1930年代後半、日本の前衛絵画の思潮は最盛期を迎えていたが、開戦にともない表現の自由が奪われつつあった。ルネサンス絵画や日本の埴輪や仏像、庭園などの前衛とは対照的なものの紹介が盛んになる。福沢一郎や靉光、麻生三郎、松本竣介、難波田龍起など東京に暮らす画家たちに加え、北脇昇、小牧源太郎など京都に暮らす画家たちは、西洋古典絵画を思わせる技法で描かれた人物画や静物画、日本の埴輪や仏像、京都の龍安寺の石庭を描いた作品などを次々に発表、日本の前衛絵画は弾圧されたと見なされた。しかし、彼らは西洋や東洋・日本の伝統的な技法や題材に立ち戻ることで時代のリアルな感覚を伝える新たな表現を模索していた。
本書では、戦時下に生きた前衛画家たちがそれぞれに現実を見つめ描いた作品と当時の資料を豊富に掲載する。東京・京都のふたつの都市で育まれた前衛絵画の流れを確認してほしい。同名展公式図録。