[BOOKデータベースより]
慈恵病院(熊本市)が開設した「赤ちゃんポスト」は“命を救う”という理念のもと、理解を広げてきた。だが、実際の運用は想定外の連続である。2019年3月までに預けられた144人中、病院が想定した早期新生児は76人。残りの約半数が、ある程度育った赤ちゃんだった。開設第一号は3歳児だ。障害児や外国人の赤ちゃんもいる。出産状況が分からないため医療者の負担も大きい。育った子は「出自を知る権利」を持ち合わせていない。さらに同病院は19年末、妊婦が匿名のまま病院で出産できる「内密出産」も導入した。いずれも国の法整備は追いついていない。開設されて13年―赤ちゃんポストが日本社会に問いかけたものとは何か?「命」を巡るノンフィクション。
序章 罪の意識
第1章 命を救う
第2章 市長の葛藤
第3章 想定外
第4章 出自を知らない子どもたち
第5章 抑止力
第6章 世界のポスト
第7章 理事長との対話
第8章 神の手と呼ばれて
第9章 内密出産
第10章 メディアと検証
終章 真実告知
誰も知らなかった赤ちゃんポスト
やむなき事情で育てられない赤ちゃんを病院が匿名で預かる。その後、特別養子縁組を目指す。2007年に慈恵病院が開設したのが「赤ちゃんポスト」である。「命を救う」という理念のもと10年以上運用されてきたが、同病院に続く施設は現れない。法整備も進まない。内情を知ると一筋縄ではいかないことがわかる。
2019年3月までに預けられた144人中、病院が想定した早期新生児は76人。残りの約半数が、ある程度育った赤ちゃんだった。開設第一号は3歳児だ。障害児や外国人の赤ちゃんもいる。いずれも出産状況が分からないため医療者の負担も大きい。
大手メディアが美談として報じる一方で、こぼれ落ちた事実がある。ポストに預けるため熊本入りする妊婦がいる。育った子は「出自を知る権利」を持ち合わせていない。ドイツでは、ポストが乳児遺棄の減少に寄与していないという報告書も出された。
「匿名」という壁をこえ、地元記者が細い糸をたどるようにポストに預けた母、預けられた子を訪ねた。また数多くの医療・福祉関係者や熊本市長や県知事にもあたった。賛否ではなく、赤ちゃんポストが照射する「真実」をひたすら拾い集めたルポルタージュ。
【編集担当からのおすすめ情報】
母はなぜ我が子を赤ちゃんポストに預けたか――。その背景を取材した著者の本作品からは、日本社会の「歪み」が見えてきます。ポストへの理解を深めるだけでなく、出産という選択を迫られた母親たちの心情を知る上でも、必読の一冊です。
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