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[BOOKデータベースより]
死と死者の領域、今日これほどに「大きな物語」はない。ここで沈黙するのではなく、発信するとすれば、どんな戦略を要するのか。日本中世以来の伝統思想(大伝統)、明治から大正への近代化の苦闘(中伝統)、そして戦後、脱近代に至るまでの曲折に満ちた歩み(小伝統)。視野を変え、焦点深度を転換して、真新しい哲学のフィールドを拓こうとする。「語りえぬもの」という呪縛を離れ、先人が陥った隘路に学びつつ、この時代の閉塞を引き裂く言葉とアイデアを模索する力業。生を導く普遍的な価値と規範の再生はありうるのか。
伝統思想から哲学へ
[日販商品データベースより]1 日本から哲学する(日本発の哲学―その可能性をめぐって;批判的思惟の有効性―マルクス主義と日本思想史;比較思想という視座;公共性と他者―日本思想の立場から)
2 近代日本哲学と仏教―批判的考察(仏教の非宗教的理解―和辻哲郎;ファシズム/ニヒリズム/日本―西谷啓治批判序説;科学/国家/道元―橋田邦彦と『正法眼蔵』;禅から井筒哲学を考える;社会性から宗教へ―今村仁司の清沢満之論)
3 脱近代に抗して(国家/宗教/倫理―脱近代の中で)
果てしなき螺旋の途上にて
人の間の倫理の領域〈顕〉に対して、不可知の霧に包まれた〈冥〉という場所、そこには他者、死者そして神仏が息づく。日本の中世思想に由来する「冥顕」の構造をもって、現代の哲学的・思想的な閉塞状況に立ち向かう。
中世以降の日本の伝統思想を踏まえ、近代の西洋との出会いと確執の痕跡を掘り起こして、単なる追随ではなく、また独善にも陥らない新たな思考の可能性を探る。「死の哲学」と「菩薩の倫理学」を、ポスト近代の思想史に位置づけるために。