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[BOOKデータベースより]
絵本作家として長年活躍し、五〇〇点以上の作品を描くかこさとしが一九三八年、小学校卒業時につづった作文。担任の先生の「何枚でも思う通りかけ」という言葉とどっさり教卓につまれた原稿用紙がうれしくて、一所懸命書いたという。かこさとしの源流をみるような一冊。対象・中学生から。
第一学年(小学校;兵隊ごっこ ほか)
第二学年(武生の学校と東京の学校;生まれてから幼稚園まで ほか)
第三学年(おちゃらかし;小学校2年生から4年生 ほか)
第四学年(遠足のおみやげ;新しい家と新しい学校 ほか)
第五学年(選挙;絵の指導 ほか)
第六学年(豊島園;受験 ほか)
600作以上の作品がある絵本作家・かこさとし氏の、小学校卒業時の絵日記。時代が戦時色につつまれてゆく状況のなか、小学生時代の生き生きとした思い出がつづられている。後の絵本作家を予見するようなオリジナリティにあふれた、絵日記再録と聞き書きエッセイ。
断捨離で一番難しいのが、思い出の品ではないだろうか。
写真や本でさえ処分するのがやっかいなのに、思い出の品はそれ以上だ。
小学校の卒業アルバム、その頃の通知書、あるいは夏休みに描いた絵画、・・・。
整理しようとまるで開けてはいけないパンドラの箱を開いて、へえこんなものが残っていたよと見るぐらいが関の山なはずなのに、捨てることができないのは、それらが思い出の品だからだろう。
もし、あなたのところに小学校の卒業文集があったら、どうしますか。
絵本作家のかこさとしさんが92歳で亡くなったのが今年(2018年)5月2日。
かこさんが小学校卒業のときに書いた絵日記(というより六年間の歩み)がこうして本になったのが今年の3月で、なのでこの本に付けられた著書略歴には没年がない。
まさにかこさんが私たちに残してくれた、最後の贈り物といえる。
絵日記だからもちろん文は自筆で綴られているが、本としては活字で組まれるしかない。ただし、絵は小学6年生のかこさんが描いたものが使われている。
その絵のうまさに、さすが将来絵本作家として大成する素養を感じる。
しかも、表紙に描かれた自画像ともいえる少年の顔は、晩年のかこさんに、当然なのだが、そっくりなのだ。
活字となった絵日記の合間あいまに、晩年のかこさんの「思い出聞き書き」がはさまって、その時々の情景を補足している。
最後の「あとがき」には自身の父親のことを綴っているきっかけは、かこさんの父親がかこさんの小学生の頃の賞状などを写真で残してくれているのを知ったからだ。
思い出はこうして大切にされていく。(夏の雨さん 60代・埼玉県 )
【情報提供・絵本ナビ】