- 格子QCDによるハドロン物理
-
クォークからの理解
基本法則から読み解く物理学最前線 13
- 価格
- 2,200円(本体2,000円+税)
- 発行年月
- 2017年01月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784320035331
[BOOKデータベースより]
第1章 素粒子物理学入門
第2章 ハドロン
第3章 量子色力学(QCD)
第4章 格子QCD
第5章 格子QCDによる数値計算の代表的な結果
第6章 格子QCDによるハドロン間相互作用
第7章 今後の課題
ハドロンの性質をクォークやグルーオンの運動を記述する量子色力学=QCDを用いて理解していこうとする試みを紹介する。基本法則やそれを使った推論や計算なども取り混ぜてハドロンの物理を解説。
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ハドロンは陽子や中性子中間子などは強い相互作用をする粒子の総称である。ハドロンはより基本的なクォークとグルーオンからできている複合粒子であり素粒子ではない。通常はその構成要素であるクォークやグルーオンの性質を調べればよいのであるがクォークやグルーオンはハドロン内に閉じ込められていて観測できない。このようにハドロンは構造を持つ複合粒子でありながらその構成要素は観測できないという奇妙な状況にある。
本書ではそのようなハドロンの性質をクォークとグルーオンの運動を記述する法則であるQCD(量子色力学)を用いて理解していこうという試みを紹介する。単なるお話ではなく基本法則やそれを使った推論や計算などを通してハドロン物理の解説をする。
本書の内容特に計算部分は物理学科(志望)の大学生であれば容易に理解できるレベルである。力学特殊相対論量子力学などの基礎を知っていると理解が容易であるが物理をあまり知らなくても数学的操作や論理の展開などに慣れていれば理解できるようにしたつもりである。計算などは一見難しそうでも自分で少し手を動かしてみれば理解できるように書いたつもりなのでなるべく自分で理解するつもりで読んでほしい。もちろん少々難しい部分もあるのでどうしてもわからない場合は読み飛ばして頂いても大丈夫である。
第1章では素粒子とは何かについて解説し素粒子標準理論を紹介する。第2章はハドロンについて紹介するが基本法則の1つとしてスピンとパウリの排他原理について述べる。第3章ではハドロン物理を理解するのに必須であるQCDをファイマン図と呼ばれる視覚的な方法を駆使して直感的に説明する。第4章では本書のタイトルにもある格子QCDの解説をする。あまり数学的にならないようにしたつもりであるが必要な部分では若干複雑な数式も使っている。格子QCDの数値計算に関しては基礎的な部分に絞って紹介している。第5章はその知識を用いて理解できる範囲での最新の研究成果の一端を紹介する。第6章は本書のメインな部分であり格子QCDを使った核力などのハドロン間相互作用の研究を紹介する。この研究は現在も進行中でありその臨場感が伝われば幸いである。またここでは量子力学やその散乱理論の計算例を紹介しているので量子力学を学んだ人は是非自分で計算を確かめていただきたい。第7章で今後の課題に簡単に触れる。
本書を契機に格子QCDを用いた素粒子理論原子核理論の研究に興味を持っていただければ幸いである。