[BOOKデータベースより]
女性首相ミタ・ジョズの活躍の下、同性婚が合法化され、男女同権が実現した“オーセル国”。精子バンクが国営化され、人々はもう性の役割を押し付けられることはなく、子供をもつ自由を手に入れていた。ある日、国家のシンボルとも言うべき“オーセル・スパームバンク”を一人の異性愛者で愛国主義者、タキナミ・ボナが占拠した。彼は、バンクへのスパーム提供を拒み続けている名門大学の男子学生である。「今こそはっきり告発します。ミタ・ジョズはぼくをレイプした。(中略)ぼくの盗まれたスパームのIDは…」彼の衝撃の演説は、突如現れたもう一人の男性テロリスト、オリオノ・エンダがボナを射殺することで幕を閉じた―その場に居合わせた17歳のユキサダ・ビイは、ボナの持つ“言葉の力”に魅了され、新進の無思想ニュースメディア『クエスティ』の記者になり、二人のテロリストの実像を追い求める―男女の在り方を問う、新時代のディストピア小説。
[日販商品データベースより]同性愛者がマジョリティとなった世界で、異性愛者による、精子バンク占拠テロ発生。男女同権を実現した理想郷を揺るがす、テロリストたちの哀しき陰謀とは…。男女の在り方を問う、新時代のディストピア小説。
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★プロ書店員レビュー★
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究極のジェンダーフリー社会?
同性愛者がマジョリティになった世界を、近未来小説仕立てで描く。国営の精子バンクを媒介とした人工授精が生殖を保障し、人々の生き方は爆発的に多様化。生殖目的の男女交際が不要になった世界で「男らしさ」「女らしさ」は前時代的な価値として敬遠され、性からの解放が謳歌される。先進的な価値観は都市から広がる。農村部に残る「古い価値観」、例えば「根っからの女好き」は、抑圧の対象となる。牧場で育った青年の、日に焼けた筋肉だらけの体つきが「ポルノモデルかセクシストの残党だ」と非難される件は示唆的だ。PC=ポリティカル・コレクトネスをめぐる摩擦や齟齬、それこそトランプを大統領にまで押し上げるアメリカ中間層の不満や、日本のネット社会に広がる「反リベラル」言説の攻撃性を連想させながら、物語は精子バンクの組織や運営に絡んだサスペンスとして進む。
レビュアー:野上由人 / リブロ / 男性 / 40代
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日本ファンタジーノベル大賞受賞作家が描く、同性愛者がマジョリティとなった世界を舞台に、男女の在り方を問う衝撃作!