- 「人身取引」問題の学際的研究
-
法学・経済学・国際関係の観点から
研究双書 no.624
- 価格
- 2,310円(本体2,100円+税)
- 発行年月
- 2016年03月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784258046249
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[BOOKデータベースより]
序章 「人身取引」問題の学際的研究の試み(「人身取引」問題とは何か;「人身取引」問題の研究;「人身取引」問題への学際的アプローチ)
[日販商品データベースより]第1章 「人身取引」の定義における労働搾取型人身取引―パレルモ議定書は移民労働に何をもたらしたのか(パレルモ議定書の定義;パレルモ議定書と移民労働の関係;「人権とビジネス」のディスコース展開の併走―サプライチェーンと人身取引)
第2章 人身取引と経済学(マクロ分析―人身取引を把握できるのか・国々はどう対応しているか;ミクロ分析―人身取引のプロセスと理論的分析;ミクロ実証分析)
第3章 人身取引問題をめぐる国際関係―東南アジアにおける地域的な人身取引対策協力の力学(先行研究整理、本章の分析視角と課題;東南アジアにおける人身取引問題の位相;ASEANにおける人身取引問題の位相;メコン地域における人身取引問題の位相)
国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書(英文テキスト;和文テキスト(訳文))
かつて存在した奴隷貿易、人身売買が、なぜ21世紀において「人身取引」として国際社会のアジェンダになったのか。現代の人身取引問題の直接そして間接的背景・要因としては、冷戦の終焉、交通・情報通信手段の発達、不均等な経済成長、雇用・教育の欠如、社会保障・医療の不備、貧困、差別、暴力、地域紛争などが挙げられる。それに加えて国境管理政策、移民労働者政策などの関連政策の不備や腐敗などによる制度自体の機能不全、低価格で競争する産業構造が、人身取引というビジネスを可能にさせている。人身取引問題を理解し解明するためには、国際法上における「人身取引」という定義の分析と同時に、「人身取引」と称される犯罪を取り巻く現象に対する、複数の視角からの分析と理解が必要とされている。「人身取引」は、人身取引罪として規定される刑事司法上の問題であるのみならず、開発途上国と先進国の政治経済そして社会問題である。
本書の目的は、現在国際的アジェンダとなった人身取引問題という事象を、法学、経済学、国際関係論という複数のアプローチから多角的に分析することである。現代の人身取引問題に関する研究文献は、後述するようにその研究領域の難しさからいまだ多くはなく、とくに日本語文献は乏しい。本書の最たるねらいは、多くの人々がさまざまな研究分野や立場からこの問題に取り組むために、課題を提示することである。アプローチが難しい、被害者がみえない、被害がみえない、文献がない、そうした困難な状況にあってもこの問題について知ろうとしている人たちに多角的視点を提供したい。