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[BOOKデータベースより]
ライプニッツ(1646‐1716)の初期作品である『カトリック論証』の翻訳と懇切な注解、そして本書の成立と思想的特徴の考察を通して、成熟期におけるモナド論などライプニッツ固有の思想における本書の位置づけを明らかにした初の本格的業績である。「信仰と理性」の葛藤、緊迫、拮抗を通して、一なる実体における三つのペルソナという三位一体の神学が、「一における多」としてのモナドに類比的に関わる背景が明らかになる。
第1部 『カトリック論証』の成立とその思想的展望(『カトリック論証』の成立;『カトリック論証』における思想的展望)
[日販商品データベースより]第2部 『カトリック論証』注解(無神論者に対する自然の告白;カトリック論証の一覧;聖体の神秘の可能性の論証;ウィソワティウスに対する三位一体の擁護;三位一体の神と受肉に対するダニエル・ツヴィッカーの異論論駁;神の受肉について、ないし位格的結合について;神の恩寵の可能性について;神の全能と全治そして人間の自由について;ローマ教会の統一について;聖書解釈論争の審判者についての小論)
ライプニッツ(1646-1716)の初期作品である『カトリック論証』の翻訳と懇切な注解,そして本書の成立と思想的特徴の考察を通して,成熟期におけるモナド論などライプニッツ固有の思想における本書の位置づけを明らかにした初の本格的業績である。ここでのカトリックとは正しい理性に基づく文字通りの「普遍的」論証という意味である。
本書には初期ライプニッツの神学と聖書論についての四つの主題である「神の存在論証」,「魂の非物体性と不死性の論証」,「キリスト教信仰の神秘の可能性の論証」,「カトリック教会の権威と聖書の権威の論証」に関する一連の論考が集成されている。
著者はこれら論考を読解することにより,17世紀に特有のアリストテレス哲学とキリスト教の教義の統合,さらにカトリックとプロテスタントの教会合同促進の機運の中で,哲学と神学を乖離させずに,普遍学という観点から両者を統合しようとするライプニッツの「理性と信仰の一致」の問題に迫る。
ライプニッツは信仰対象である「秘跡」や「秘儀」は論証できるとするが,同時に「秘跡」が「信仰の神秘」であることも肯定する。このような「信仰と理性」の葛藤,緊迫,拮抗を通して,一なる実体における三つのペルソナという三位一体の神学が,「一における多」としてのモナドに類比的に関わる背景が明らかになる。