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[BOOKデータベースより]
わたしは、スリだった。じぶんと同じようにまずしい人たちから物をぬすんで、生きていた。ある晩、くらい通りで、ひとりのおばあさんに出会った。カバンをひったくろうとすると、おばあさんが言った。「おまえさんにやるよ。これを植えるってやくそくするんならね」あのとき、おばあさんとかわした「やくそく」。その意味に気づいたとき、少女は、それをまもるためにうごきはじめた。
[日販商品データベースより]すさんだ街にくらす少女。彼女はスリだった。ある晩、おばあさんのカバンをとろうとした時、おばあさんはやくそくを守るように言った。その意味に気付いた時、少女はそれを守るためにうごきはじめる…。
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「わたし」が住むのは、ぎすぎすして、すさんだ街。ほこりっぽく、なにも育たず、笑顔をみせるひともいない街。ある晩、くらい通りで、おばあさんがもっているカバンをひったくろうとした「わたし」に、おばあさんはこう言った。「おまえさんにやるよ。これを植えるってやくそくするんならね」食べ物やお金のことしか頭になかった「わたし」は、ただカバンがほしかった。カバンにそれが入っていると思って「やくそくするよ」と口だけで答えた。それなのに・・・カバンをあけてみると、入っていたのはドングリ! きれいな緑いろの、ぷっくりしたドングリがたくさん!そのとき「わたし」のなかで何かが変わった――。世界に注目されるイギリスのイラストレーター、ローラ・カーリンの、はじめての絵本作品。文章はケンブリッジ大学でくじらやこうもりなど数々の動物を研究する、ニコラ・デイビス。ふしあわせな顔をした人間ばかりのみじめでわびしい街のあいだから、ドングリの芽が顔をだし、緑がうまれ、そのいぶきが天までとどいてめぐみの雨がふってくると・・・。灰色の街から、色あざやかな街へ。みるみるかわる、その劇的な変化を、ローラ・カーリンが、繊細かつかろやかな色彩で描いています。あつまってきた小鳥たちの、なんてうつくしいこと!「やくそく」は、手から手へ、つながっていきます。自分たち人間以外の、いのちあるものをきれいだと思う瞬間、「しあわせ」ははじまるのかもしれません。2011年ボローニャ・ラガツィ賞フィクションの部優秀賞を受賞した、注目のイラストレーターの絵をぜひ見てみてください。そして、あなたの心にも、緑いろのドングリが芽吹きますように!
(絵本ナビライター 大和田佳世)
スリをして生きている少女が主人公ということが、まず衝撃でした。
色彩のない街は少女の心そのもののようです。
その少女が奪い取ったのは、カバンいっぱいのどんぐりの実。
不用意に「どんぐりを植える」ことを約束した少女ですが、約束を守ることができたのは、少女の心のどこかに良心があったからでしょう。
どんぐりを植えることで、町には次第に緑が芽生え、色が埋めていきます。
象徴的な絵の中に、少女の救済が描かれています。
少女もまた、どんぐりの実の入ったカバンを盗まれます。
でも、かつての自分のように、盗んでいった若者に夢を託す少女は、いつか心豊かになっていました。
ローラ・カーリンの絵には、いろいろなものが埋め込まれていて、意味深く感じました。(ヒラP21さん 60代・千葉県 )
【情報提供・絵本ナビ】