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[BOOKデータベースより]
「私小説」という概念の出現は、何を変えたのか。論者たちの小説解釈を方向付け、小説家たちの自己認識にも影響を与えた「私小説」という概念の出現。私小説概念とともにあった志賀直哉、葛西善蔵、梶井基次郎、太宰治等の小説・論評を読み直す試み。
1 志賀直哉と葛西善蔵(「濠端の住まひ」という時空;葛西善蔵の「場所」―「哀しき父」をめぐって;葛井善蔵の方法―「蠢く者」を中心に)
[日販商品データベースより]2 梶井基次郎(「檸檬」の方法;三つの短篇―「城のある町にて」・「冬の日」・「蒼穹」;「ある崖上の感情」―未完の物語;「のんきな患者」―文学史の中の梶井基次郎)
3 太宰治(「道化の華」とアンドレ・ジッド;「八十八夜」―成熟という主題と語りの相対性;「春の盗賊」―「私」というフィクション)
4 「心境」・「芸術」・転向小説(「心境」への憧憬―抱月の「心鏡」論と二つの「闇の絵巻」論について;「芸術」という境地―内容的価値論争について;転向文学論の論理と転向小説の実際―村山知義の「白夜」をめぐって)
5 いくつかの作家・作品論(中村憲吉における「中央」と「地方」;芥川龍之介の額縁小説と大正期読者の小説受容;横光利一「家族会議」の方法)
「私小説」という概念の出現は、何を変えたのか。
論者たちの小説解釈を方向付け、
小説家たちの自己認識にも影響を与えた
「私小説」という概念の出現。
私小説概念とともにあった
志賀直哉、葛西善蔵、梶井基次郎、太宰治等の
小説・論評を読み直す試み。
【我々は、私小説とは何かと問われなければ、すでにそれを知っているともいえる。これは、文学という概念が一度として完璧に定義されたことがないにもかかわらず、我々が漠然と冥々裡にそれを理解していることと似ている。私小説という概念の出現は、論者たちの小説解釈を大きく方向付けたし、小説家たちの制作や自己認識もまたその影響を受けたのである。たとえば志賀直哉は、自作の「或る朝」を、執筆当初は「非小説、祖母」と題しながら、後年の回想では「初めて小説が書けたやうな気がした」と述べるのであるが、この自己評価の変遷には私小説概念の成立が明らかに関わっている。本書は、そのような現実をふまえた、個々の小説や評論の、ささやかな読み直しの試みである。......「はしがき」より】