[BOOKデータベースより]
南方と半島からの「海民」が先住民と出会い、砂州の上に融通無碍な商いの都が誕生・発展する。上町台地=南北軸と住吉〜四天王寺〜生駒=東西軸が交差する大地の一大叙事詩を歌いあげる。
第1部 プロト大阪(大阪を読み解く鍵を求めて;太陽と墳墓;四天王寺物語)
第2部 ナニワの生成(砂州に育つ資本主義;超縁社会;船場人間学)
第3部 ミナミ浮上(日、没するところ;千日前法善寺の神;すばらしい新世界;ディープな大阪)
第4部 アースダイバー問題集(土と墓場とラブホテル;カマドと市場;大阪の地主神;女神の原像;コリア世界の古層と中層)
Appendix 河内・堺・岸和田―大阪の外縁
著者は、心の無意識までを含んだ四次元の地図を作成する作業の全体を、「アースダイバー」と名づました。258万年前から現在にいたる地質の変遷を示す「第四紀地図」図と考古学の発掘記録、それに現代の市街図を組み合わせて、土地のもつ「本当の姿」を明らかにしていきます。またその作業には、古代人の心の構造を教える人類学、歴史学、心理学などあらゆる知が境界を越えて動員されます。
今回その対象となるのは、大阪です。現在の大阪は5000年前にはほとんどが海面下にありました。南北に走る細長い上町台地だけが、古くからある陸地です。その南北の線を軸に、そして東の生駒山脈から発する死のパワー(デュオニソス軸)が、東西に力を加え、その座標軸が大阪の基盤をつくっていると著者は考えます。そしてその交点にある四天王寺が大阪の中心となっています。物差しをもつ聖徳太子=太子信仰は、職人的世界のバックボーンになっています。
一方ミナミ、キタ、ナニワなど大阪の中心地は、「くらげなす」砂州の上に成立し、それゆえに浮遊する世界=都市=商業を発展させえたということなります。
大阪の古層にある、南からの海洋民、半島から到達した「海民」をキーワードに、大阪の無意識へとダイヴィングするスリリングな冒険を試みます。
やわらかな砂州の上に築かれた大阪。自由な都市は、海洋民・半島人を受入れ、商業を発展させ、お笑い革命を起こし、オバチャンを生む