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[BOOKデータベースより]
東日本大震災の壮絶な現実を切り撮りながら、メディアの一翼をなす自らをも問い返すものとなったドキュメンタリー映画『311』。震災に向き合った四人の監督が、表現者として現場での揺らぎを見つめ直し、思いのすべてを語る。
第1章 三・一一以後(森達也)
[日販商品データベースより]第2章 「見えないもの」を追って(綿井健陽)
第3章 撮ってしまった「後ろめたさ」(松林要樹)
第4章 被災地の映像を見つめて(安岡卓治)
特別寄稿 災害を記録する映画とテレビ(佐藤忠男)
森 達也
今日の日付は(2012年)2月6日。公開まで1カ月を切った。つい先日2回目の試写が終わり、作品についての評価や感想が、現段階ではネットなどで、少しずつ目につき始めている。
賛否両論(安岡の言葉を借りれば罵倒と称賛)は想定していたが、ネットの属性も相まって、今のところは否定や罵倒のほうが圧倒的に多い。とくに掲示板的なサイトには、引用をはばかりたくなるほどの悪罵がひしめき合っている。(略)
感じていることはある。訴えたいこともある。この書籍ではその思いを、できるかぎり文字化した。でもすべてを言い足りてはいない。だから映像がある。互いに補完し合っている。
撮る理由は観てもらうためだ。一人でも多くの人に。それに尽きる。それ以上は言う必要はない。できれば称賛してほしいけれど、でも最初から最後まで観てもらえるのなら、激しい罵声を浴びてもかまわない。本気でそう思う。(略)
(「あとがき」より)
綿井健陽
東日本大震災から1年を前に刊行した『311を撮る』は、映画『311』の共同監督である森達也・綿井健陽・松林要樹・安岡卓治の4人が、それぞれ一つの章を担当して執筆した記録と軌跡である。
映画『311』は4人の撮影した映像がぐるぐる混在しつつ、一つの物語になっている。
一方、書籍『311を撮る』は一つのバトンを持って、4人それぞれが決められた区間を走るようなリレースタイルだ。
それがどんなバトンなのかは、読者の皆さんが読み終わったゴール地点で見えてくるだろう。
あるいは、そのバトンは、読者の皆さんに手渡されて、またエンドレスで走り出すのかもしれない。
この本はそんな“バトンリレー・ドキュメント”だ。
松林要樹
映画『311』の取材から戻った翌日から南相馬市に向かった。何か現場で置き忘れたものがあると思ったからだ。その南相馬で生活しながら一人で撮影した作品、『相馬看花―第1部 奪われた土地の記憶』も2012年5月に劇場公開される。映画を作る者にとって、二つの作品が公開されることは、とても恵まれたことだ。しかし、置き忘れたものは、まだ見つからない。撮ってしまった「後ろめたさ」の背後に隠れているのかも知れない。それを見つけるまで、私はこれからもずっと撮り続けていくだろう。