この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。

ユーザーレビュー (1件、平均スコア:5)
レビューを評価するにはログインが必要です。
この商品に対するあなたのレビューを投稿することができます。
-
Tucker
-
知っている事と知らない事
研究を進めれば進めるほど新たな謎が出てくるのが学問の世界。
が、宇宙論の分野では、新たな謎が出てくると同時にSF(本来の意味でのSF)とみまごうばかりの理論が展開される。
その最たるものが
「宇宙は一つではないのでは?」
というもの。
量子論の観測問題。
ビックバンの後のインフレーションが人間にとって、あまりに都合よく止まったこと。
物理の様々な定数が人間が存在しうるように調整されたと思えるほど、あまりに絶妙な値であること。
これらを考えると、他にも「宇宙」があるのでは、という考えもよぎるが、今の段階でそれを証明する方法はない。
本書は、これらの事やその前提となる事について、平易に解説している。
宇宙に存在するはずのエネルギー量のうち、人間に見えているのは、そのうち4%だという。
観測可能な物質だけでは、この宇宙の形を説明するために必要なエネルギーが圧倒的に足りない。
が、宇宙は、こうして存在する。
今の物理の理論がどこかで致命的に間違っているか、観測できていない「何か」が存在するのか。
理論が間違っている、とするにはあまりに観測結果に適合する。
「何か」の候補として「ダークマター(暗黒物質)」が挙げられるが、これも全体の23%しかない。
残りの73%は?
この「何か」は「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれるが、その正体は皆目見当もつかない。
観測機器は、天文学が生まれた頃より格段に進歩しているが、その結果、分かったのは絶望的なまでに何も分かっていない、ということだった。
本書のプロローグで、孔子の次の言葉が紹介されている。
「知っている事を知っているとし、知らない事は知らないとする。
その区別を明確にできることが本当に知るという事である」
その通り、とは思うが、一方で
「知らない事の重さに耐えられるのか?」
という気もしてしまう。
[BOOKデータベースより]
なぜ宇宙は存在するのか―。この宇宙は奇妙な謎に満ち溢れている。しかし、現在、人類の宇宙を見る目は大きく開かれつつある。いま、宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか。宇宙の全体像とは?宇宙の「外側」とは?現代宇宙論のフロンティアへと旅立つ一冊。
第1章 初期の宇宙はどこまで解明されているか(過去の宇宙からのメッセージ;宇宙観測は天然のタイムマシン ほか)
[日販商品データベースより]第2章 宇宙の始まりに何が起きたのか(標準宇宙論を超える;物質の起源、いまだわからず ほか)
第3章 宇宙の形はどうなっているのだろうか(宇宙飛行士の行く宇宙は地球のごく近傍;太陽系の大きさとは ほか)
第4章 宇宙を満たす未知なるものと宇宙の未来(宇宙の形と足りないエネルギー;正体不明の物質、ダークマター ほか)
第5章 宇宙に外側はあるか(ブラックホールの向こう側には何があるか;ワームホールはタイムマシンになる ほか)
この宇宙は奇妙な謎に満ち溢れている。しかし、現在、人類の宇宙を見る目は大きく開かれつつある。今、宇宙の何がわかっていて、何がわかっていないのか。現代宇宙論のフロンティアへと旅立つ1冊。