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[BOOKデータベースより]
「東京に行きさえすれば、どんな目的でも達せられる」―生活の糧を求め、故郷を離れて都会へ向かう一家。皆の希望を乗せた汽船は、夜明けの海を滑り出す(田山花袋『朝』)。塩魚や飴、生姜…行商で各地を巡る男たち。月夜の晩、思わぬ昔話から彼らの運命の糸がつながり出して…(李孝石『そばの花咲く頃』)。ある者は罪を問われて、ある者は人を探して…田舎町の警察署は朝から晩まで警官たちがてんてこ舞い(伊藤永之介『鴬』)。どんな逆境の日も、必ず夜明けが訪れる。朝靄に一寸の光をもたらす三篇。