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- 滅びし獣たちの海
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- 価格
- 692円(本体629円+税)
- 発行年月
- 2008年06月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784344813632
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海は広いな、大きいな 怪物は潜むし、船は沈む
海が舞台の短編5編からなる。
「レッドツェッペリン」
「鯨鬼伝」
「アウトバースト」
「罪の島」
「滅びし獣たちの海」
「アウトバースト」のみ海は関係なし。
星野之宣と聞くとSFを思い浮かべる人が多いだろうが、これらの5編はどちらかというと「宗像教授」シリーズのテイストが強い。
印象に残ったのは「鯨鬼伝」「アウトバースト」「罪の島」の3編。
「鯨鬼伝」
江戸時代、捕鯨の村であり、村民全員が隠れキリシタンでもある村に漂着した西洋人の話。
漂着した西洋人は宣教師らしいが、ある特定の鯨を見た時、何かに憑かれたようになる。
それには理由があるのだが、明かされるのはラストの一コマ。
そこで初めて、それまでの伏線が明らかになり、「鬼」とはそういうことか、とわかる仕掛けだが、「あの作品」の「あの人」の名を知らないと「?」となってしまうのが難点。
有名な話なので、名前くらいは聞いた事がある、というのも多いだろうが・・・。
「アウトバースト」
南米で新たに発見された古代都市を巡るブラックな物語。
「宗像教授」シリーズ+「ホットゾーン」(リチャード・プレストン)という感じの作品。
「森の神の復讐」の方法がゾクッとする。
こんな方法を取られたら、防ぎようがないから・・・。
「罪の島」
船が転覆し、乗客・乗組員の一部は近くの島に命からがらたどり着く。
そこは、かつて収容所だったようだが、今は誰もいない。
研究施設跡もあったが、そこで研究されていたものは・・・。
ラストのモノローグがグサリとくる。
「人間は罪を小さな島に封じこめて忘れ去ろうとするかもしれない。
だが、罪は人間を忘れない。
それは永久に我々を告発し続けるのだ」
”小さな島”の部分を入れ替えれば、戦争・公害病・原発事故など、何十年も引きずるような問題の事とも考えられるから。