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[BOOKデータベースより]
一三世紀、引退した元修道院長カエサリウスは所領明細帳の筆写をしながらかつての修道院領に思いを馳せていた―今日まで伝来する写本と逸失した原本、そして筆写時点での現実とカエサリウスの心性。土地と農民を記録する所領明細帳に潜むわずかな裂け目から、史料の力をいかに引き出し、どう読み解くか。荘園制、共同体論、ピレンヌ・テーゼ、封建革命など、西欧中世史をめぐっては活発な議論が行われてきた。これらの枠組みを検証しつつ、賦役・農民経営・流通の面から中世初期農村社会の実態を探る。その具体的な記述と緻密な分析から浮かび上がる変容のダイナミズムは、わたしたちに「停滞する農村」像の書き替えを迫る。
中世初期社会経済史をどう見るか
[日販商品データベースより]第1部 甦るプリュム修道院所領明細帳(プリュム修道院所領明細帳とカエサリウス写本;カエサリウス写本は一三世紀の所領明細帳だったか;カエサリウスの注は一三世紀の史料か、九世紀の史料か;プリュム修道院所領明細帳に追加部分はないか)
第2部 プリュム修道院領の農民経済―中世初期農村への動態的アプローチ(賦役労働の実態―定量化へ、具体化へ;マンス制度と農村の活力―分数マンスの動向から;商品の流通と貨幣の使用、そして都市への展望)
土地と農民を記録する所領明細帳。その多層なテキストの分析から農民の活力あふれる姿が浮かび上がる。精緻な分析で史料に潜むダイナミズムを読み解き、西欧中世農村像を描き直した書。