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[BOOKデータベースより]
自分自身の天寿の終極をすでにどこかで予感していたかもしれない村野が、“手づくり”に近いかたちで、文字通りこねあげるようにして創り上げた作品は、言葉をかえていえば村野がそれを、一種の建築的な“遺言”とでも呼ぶべきものとして考えてデザインしていたのであったといえるかもしれない。実際にこの作品には、村野が後に続く者に遺そうとしたさまざまなメッセージを読み取ることができるように思われる。本書では、村野藤吾のインテリア・デザインの特殊な手法の考察、ということでのテーマを念頭におきながら、この村野の“遺書”ともいえる建築の内容を詳しく見ていくことにしよう。まずそのために、この美術館の内部空間を訪ね、その空間に身体を実際にさらし、そこに何を読み取ることができるかを検証することから始めよう。
祈りの空間―宗教施設
集いの空間―劇場・議場
公共の空間―公共施設
鑑賞の空間―美術館
営みの空間―商業施設
住まう空間―住宅