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[BOOKデータベースより]
著者は40年にわたり心理療法家としてその実際と研究に携わってきた。その経験と思念の結晶が本書である。心理療法家にとって重要なことは「おのれの道をおのれで選び、その明かりを照らしてすすむこと」だと著者はのべる。既成の心理療法の主義・技法にとらわれない「素足」の必要な理由である。マニュアルや理論で汲みつくすことのできない個性の内部を感受し、対応するための心の眼のやしない方を、さまざまな局面に即してのべ、療法の基礎である人間の「ふるさと」の原景へアプローチする。療法の一例として患者の特性の一つであるルサンチマン(怨恨)も、自己をみつめ、表現し、言語化する方向に療法家が慫慂できるならば、みごとな役割転換が生じ、マイナス価値がプラス価値に変ずる。福沢諭吉の実例で著者は「待機性」(待つ能力)についてこれを語っている。「私はたくさんの人に言葉をきく多聞天でありたいと思い、また多くの現実を見すえる広目天でありたい、と臨床の現場でつねに思っている」という著者は、本書を「白鳥の歌」と呼ぶ。
沈黙の時間
根本原則
自灯明
共業性
施無畏
居塵出塵
素足であること
含羞性
畏敬性
五体投地〔ほか〕