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[BOOKデータベースより]
朝鮮半島南方の多島海にある島のひとつ巨文島は、古来海上交通の要衝として、また豊かな漁場の拠点として知られていたが、歴代為政者の空島政策により、長く無人島であった。それが、日露戦争の直後から日本人が移住して「にっぽん村」を作り、さらにそこへ韓国人も加わって漁業を中心とした一大生活圏を生み出すに至った。本書は、歴史に翻弄される島と人々のようすを描写しながら、一小島が日韓関係を考える素材たりうることを示す。
第1章 海上の道と無人島(古来、風浪を避ける停泊地だった;倭寇の中継基地;目をつけられた漁業の宝庫)
第2章 英国艦隊の巨文島占拠事件とその前後(19世紀の砲艦外交とプチャーチンのロシア艦隊;突如現われた英国の軍艦;「偉大なる文人の島」と「敵艦見ユ」の電信中継)
第3章 巨文島に最初に住んだ日本人(運賦天賦に賭けたパイオニアの木村忠太郎;大敷網とイリコの製造;誰が移住第1号か)
第4章 在外にっぽん村形成の記録(なぜ後続部隊が巨文島を目指したか;島の整備と公共的施設)
第5章 漁業・遊興・買い物の一大センターへ(巨文島沖の操業と漁業船団;島に上陸すれば;軒を並べる商店、工場)
第6章 島の暮らし(人々の日常生活;子供の遊び;朝鮮の人たちの暮らし)
第7章 軍国主義の嵐、その果ての敗戦(迫り来る軍靴の響き;茫然自失の日本人)
第8章 巨文島は今(半世紀ぶりの巨文島訪問;主人公となった韓国人)