ユーザーレビュー (3件、平均スコア:5)
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「3 SPECIAL BOOKS」レビューコメント
【その他】 中上健次の描く男が、本当に好きなのです。屈強で、乱暴で、どこか退廃的な香りも漂う。思考のみならず、ちゃんと肉体が存在していて、筋肉の躍動や汗のにおいを身近に感じ取れる。だからこそ、彼ら登場人物の行動を通して語られるひとつひとつが途方もない切実さを帯びるのだという気がします。男と女の決定的な違い、彼らが佇む土壌、父と息子の確執、血というもの。私がこの小説に震撼するのは、そこで起こる衝撃的な事件や無駄のない筆の運びによってだけではありません。小説の中に取り込まれている精神や風土の、類を見ない大きさや普遍性に震えるのです。
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「日本列島 本の旅」レビューコメント
紀州を舞台に血縁とは家族とは何か?生きるとは何か?を問う、濃い〜小説。風景描写、心理描写の文体が凄い。さずが中上健次。あっという間に自分が紀州の街にいるような気がしてくる。食わず嫌いの人がいると思うが決して難しい小説ではない。齧るだけでいい。是非一読を。できれば先に前編といえる『岬」を読んだほうがいい。(jim fripp/男性/40代)
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「オススメの夏の文庫100冊」レビューコメント
夏と聞いて、ふと思い出したのがこの、中上健次の枯木灘である。太陽がギラギラに照っていて、そこで土方の主人公が土を掘り返すというシーンが目に浮かんでくる。 特に夏でなければならないということはないが、この物語には夏というのが大きく横たわっている。 別に青春の物語ではないが、春というのは綺麗すぎて合わないし、秋というほど物憂い感じでもなく、冬のような悲しい感じでもない。やはり夏の、あの暑さの中でこそこの物語は適切なのである。(新崎/男性/20代)
中上健次の描く男が、本当に好きなのです。屈強で、乱暴で、どこか退廃的な香りも漂う。思考のみならず、ちゃんと肉体が存在していて、筋肉の躍動や汗のにおいを身近に感じ取れる。だからこそ、彼ら登場人物の行動を通して語られるひとつひとつが途方もない切実さを帯びるのだという気がします。男と女の決定的な違い、彼らが佇む土壌、父と息子の確執、血というもの。私がこの小説に震撼するのは、そこで起こる衝撃的な事件や無駄のない筆の運びによってだけではありません。小説の中に取り込まれている精神や風土の、類を見ない大きさや普遍性に震えるのです。
木内昇/作家
3 SPECIAL BOOKS掲載日:2013/03/22
【情報提供・3 SPECIAL BOOKS】