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価格:2,970円(本体2,700円+税)
【2021年09月発売】
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【2021年09月発売】
[BOOKデータベースより]
人間の暗部の描写と精緻な分析に、内外の映画人たちは深く共感したに違いない。文豪たちの小説とその映画についてのさらなる理解を追究する映画批評。
第1章 『枕草子』―ピーター・グリーナウェイのパロディ
[日販商品データベースより]第2章 芥川龍之介「藪の中」―多様な読みを許す複数の視点
第3章 江戸川乱歩『陰獣』―闇に葬られた欲望
第4章 谷崎潤一郎『卍』―性の境界侵犯か
第5章 谷崎潤一郎『鍵』―ファム・ファタール夢幻(1)
第6章 谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』―ファム・ファタール夢幻(2)
第7章 川端康成『眠れる美女』―老人の禁じられた遊び
第8章 川端康成『美しさと哀しみと』―サイコホラーの側面
第9章 三島由紀夫『午後の曳航』―ナルシストの視線
日本の文学作品とその映画
一般に原作が優れていればいるほど、その映画化が原作を凌ぐのは
難しいとされている。
名立たる文豪たちが活躍した二十世紀は、サイコロジーとその応用が盛んな
時代だった。
谷崎、川端、三島、乱歩の小説に表れた
SM嗜好、人格分裂、母性への固着は、フロイトを始めとする精神分析学者が、
その原因を明らかにして人間の理解を深めようと苦心してきたテーマでもあった。
日本近代の文学者たちは、その欧米経由の精神分析を使用し、日本人らしさ、
日本人のアイデンティティを見定めようとし、ほの暗い日本家屋の闇にも
似た人間の暗い部分の描写と精緻な分析を推し進め、人間存在の「陰」の部分
へのまなざしを深めていった。そこに、外国の映画人たちは深く共感したに
違いないのである。
本書は、陰影礼賛に満ちた文豪の小説とその映画についての理解を、
さらに深めるための批評集である。