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せみまる
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迫真のルポルタージュ
著者は新聞特派員として4年間を南アフリカ共和国のヨハネスブルクで過ごしている。その治安は「人口十万人あたりの殺人発生率は四十・五件。これは日本の約四十倍、英国の約二十八倍。都市部を中心とした凶悪犯罪発生率が高い米国と比べても、約七倍の高率」という凄まじさ。
ところが、このヨハネスブルクさえマシに思えるのが第5章で描かれる無政府国家ソマリア。どのくらい無秩序かというと、まずは護衛のための私兵集団が随行していないと危険であること。そして、「交通法規が存在せず、交通法規を執行する警察もないのだから、信号機が稼働していないのは当然である」。
そんな状況に陥っているアフリカ大陸の諸国について、著者の主張を乱暴に要約すると「豊富に埋蔵されている地下資源のおかげで、南アフリカをはじめとする諸国は経済発展が著しいが、そのために所得格差も拡大し、貧しい側は富に犯罪という手段でアクセスする」というようなもの。
また、もともとが自由に人が行き交っていた大陸に、列強諸国が「国境線」を引いたことも民族間紛争の火種になっています。彼らの紛争を利用しようとするアフリカ各国の政府や、安全保障のためにそれに介入する米露の暗躍など、読んでいて暗澹たる気分になる。また、内戦や国家間の紛争で何百万人もの命が犠牲になっているという現実があります。
本書の凄みは、上記のような「死の統計」を評論家のように記述するのではなく、著者が危険を冒してまで決行する取材活動。特にスーダンとソマリアへの取材は読んでいてハラハラする内容です。
描かれるアフリカの国々の現実にはなすすべもないですが、本書のようなルポルタージュを手に取りその現実を知ることくらいはしたい。一人でも多くの人に読んでほしいと思うルポルタージュの力作です。
[BOOKデータベースより]
石油、金、ダイヤモンド、レアメタル…。先進国を支える貴重な資源が大量に眠る大陸、アフリカ。かつての貧困の地が今、高度成長を続けている。だが、その成長の地で犯罪や紛争が頻発し、麻薬の密輸、金融詐欺、海賊行為など国境を越える暴力となって日本にも襲いかかる。資源ブームに沸くアフリカでなぜ、暴力の嵐が吹き荒れるのか。元現地特派員が自らの目で見たアフリカ社会の今を報告する。
序章 資源大陸で吹き上がる暴力
[日販商品データベースより]第1章 格差が生み出す治安の崩壊―南アフリカ共和国、モザンビーク共和国
第2章 「油上の楼閣」から染み出す組織犯罪―ナイジェリア連邦共和国
第3章 「火薬庫」となった資源国―コンゴ民主共和国
第4章 グローバリズムが支える出口なき紛争―スーダン共和国
第5章 世界の「脅威」となった無政府国家―ソマリア民主共和国
終章 命の価値を問う―南アフリカの病院から
先進国を支える貴重な資源が大量に眠る大陸、アフリカ。かつての貧困の地が今、高度成長を続けている。そのアフリカで、なぜ暴力の嵐が吹き荒れるのか。元現地特派員が自らの目で見たアフリカ社会の今を報告する。