[BOOKデータベースより]
人生諸般への鋭く、かつ心ある洞察、小林秀雄、青山二郎らとの交流、能の素養を背景とした古人への追慕、これは白洲正子の入門書かつ決定版。
第1章 知人・友人(一つの存在;ある日の梅原さん;『いまなぜ青山二郎なのか』;小林秀雄;正宗白鳥;青山二郎)
第2章 日常なるもの(銀座に生き銀座に死す;冬のおとずれ;老木の花;浮気について;幸福について;晩年の祖父;私の墓巡礼;死;ツキヨミの思想)
第3章 お能(お能の見かた;能面の表情;お能を知ること;舞う心;お能の幽玄;面について)
第4章 古びぬものたち(信玄のひょうたん;明恵上人のこと;無言の言葉;西行のゆくえ;坂のある風景;古寺を訪ねる心―はしがきにかえて;極楽いぶかしくは)
好評の女性随筆集、いよいよ後半分の刊行開始(第四回配本)。紀行、骨董、民芸、着物、古典、能などに関する膨大な文章を残した白洲正子の作品から各分野ごとに厳選。「第一章 知人・友人」では小林秀雄、青山二郎など師とも仰いだ男たちのことを書いた文章を収録。ことに「正宗白鳥」は、文人にとって生活というものは何か、をまざまざと見せてくれる一篇である。「第二章 日常なるもの」には祖父の追憶や懇意にしていた女友達を悼む文章など、どちらかといえば私的な面がのぞける作品を集めた。白洲正子の感性、思考の核心を成していたのは「能」の素養だが、「第三章 お能」は能の鑑賞入門にもなっている。「第四章 古びぬものたち」は、明恵上人や西行、古寺巡礼に関する文章で構成。本書は、絶好の「白洲正子入門」であり、最良の「白洲正子決定版」である。