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六一書房 八木書店 関口広次
点
「韓瓶」との名称は、伝承によれば、南宋時代の将軍であった韓世忠(1089-1151)に由来した細い長胴形の瓶で、軍内で酒瓶あるいは水筒として使用されたとされる。類似した形状の瓶は南宋時代後の元時代にも盛んに生産され、その使用は明時代にも及んでいる。後述する様に、韓瓶の出土は軍事拠点、港町、酒造り地点そして沈船などからの出土が多い。遺構としては井戸中あるいは井戸付近からの出土も多い。時代と出土地域により、口縁形状に違いが多少みられ、生産地に違いのあることが予測される。ただ細い長胴形の瓶で、鉄分の多い粗い胎土の陶器質で灰釉が薄く施された点においては、ほぼ共通する。その形状は今日的な感覚からすると、長胴の割に底径が小さく不安定なかたちであり、立てておくには心もとなく、その使用目的を水筒とすることに幾分の疑問も生じよう。例えば、日本の中近世にあっては、揺れの激しい船中では、船徳利と称される三角フラスコ形の底部が広く安定して倒れにくく、また頸部を細く絞って液体の漏れを防止できる形状の瓶が知られ、備前船徳利などは著名である。それは韓瓶とは対照的な形状である。しかし、韓瓶の水切りをよくした三角断面形状の口縁部、小さめの口縁径は液体容器であることに異論はなかろう。 中国古代の土器から尖底形の長胴瓶は知られており、綱や紐を巻いて河川から水を汲み上げ、あるいは井戸に落として水を汲み上げるのに適した形状として理解されてきた。近年の土器研究によれば、尖底土器は沈澱分離法による醸造用の容器との説がある。底部径を極めて小さく作り、口縁径も小さく絞った長胴形の韓瓶は尖底土器の延長線上にあるとことは確かで、いわば試験管形で攪拌・沈澱分離に便ならしめた形状と言える。後述する酒造り場での使用は、そうした目的で使用されていたと想定され、また水筒としては不純物の沈澱分離を目的としての機能を重視した形状と言えるのではなかろうか。韓瓶が酒器から発展援用されたとの説は以前からあったことには留意しておきたい。 以上の様な機能に即した目的で発展進化した形状の韓瓶は、南宋時代から元時代にかけて、より具体的には、どこの窯で生産され、またどういった性質を有した遺跡で消費されていたのかを中心に考察して行くこととする。
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[日販商品データベースより]
「韓瓶」との名称は、伝承によれば、南宋時代の将軍であった韓世忠(1089-1151)に由来した細い長胴形の瓶で、軍内で酒瓶あるいは水筒として使用されたとされる。類似した形状の瓶は南宋時代後の元時代にも盛んに生産され、その使用は明時代にも及んでいる。後述する様に、韓瓶の出土は軍事拠点、港町、酒造り地点そして沈船などからの出土が多い。遺構としては井戸中あるいは井戸付近からの出土も多い。時代と出土地域により、口縁形状に違いが多少みられ、生産地に違いのあることが予測される。ただ細い長胴形の瓶で、鉄分の多い粗い胎土の陶器質で灰釉が薄く施された点においては、ほぼ共通する。その形状は今日的な感覚からすると、長胴の割に底径が小さく不安定なかたちであり、立てておくには心もとなく、その使用目的を水筒とすることに幾分の疑問も生じよう。例えば、日本の中近世にあっては、揺れの激しい船中では、船徳利と称される三角フラスコ形の底部が広く安定して倒れにくく、また頸部を細く絞って液体の漏れを防止できる形状の瓶が知られ、備前船徳利などは著名である。それは韓瓶とは対照的な形状である。しかし、韓瓶の水切りをよくした三角断面形状の口縁部、小さめの口縁径は液体容器であることに異論はなかろう。
中国古代の土器から尖底形の長胴瓶は知られており、綱や紐を巻いて河川から水を汲み上げ、あるいは井戸に落として水を汲み上げるのに適した形状として理解されてきた。近年の土器研究によれば、尖底土器は沈澱分離法による醸造用の容器との説がある。底部径を極めて小さく作り、口縁径も小さく絞った長胴形の韓瓶は尖底土器の延長線上にあるとことは確かで、いわば試験管形で攪拌・沈澱分離に便ならしめた形状と言える。後述する酒造り場での使用は、そうした目的で使用されていたと想定され、また水筒としては不純物の沈澱分離を目的としての機能を重視した形状と言えるのではなかろうか。韓瓶が酒器から発展援用されたとの説は以前からあったことには留意しておきたい。
以上の様な機能に即した目的で発展進化した形状の韓瓶は、南宋時代から元時代にかけて、より具体的には、どこの窯で生産され、またどういった性質を有した遺跡で消費されていたのかを中心に考察して行くこととする。