2014年 6月号
真梨幸子
2014年冬期、呟き(ツイート)総括
1月16日
白状します。漫画とテレビで育った私は、実は小説はあまり読んできませんでした。作文も苦手で、だから小説家なんて自分から一番遠い職業でした。でも、百科事典や図鑑を読むのは大好きで、小学校に上がるときに親が押し売りされた子供用の百科事典12巻を、毎日のように繰り返し読んでいました。今も、おもしろい図鑑なんかを見つけると、値段も見ずに買ってしまいます。特にお気に入りが、『パリ歴史地図』(東京書籍)と『図解 貴婦人のドレスデザイン 1730〜 1930 年』(マール社)です。今日もその2冊をぱらぱら捲って、気分をストレッチしています。
1月17日
「闇金ウシジマくん」(真鍋昌平 小学館)をとりあえず1巻から10巻まで大人買い。
1月20日
「闇金ウシジマくん」が届きました。早速かぶりついています。1巻の「若い女くん」で、いきなり呼吸困難に。ちょっとした欲望の積み重ねが、こんな結果を招くなんて。「ひぃぃ」の連続です。これ、学校の教材にしたらいいと思います。反面教師として。私は、「ナニワ金融道」(青木雄二 講談社)で、手形とカードの恐ろしさを知りました。そういえば、私のデビューが決まったとき、当時の担当さんに「どんな作風を目指すか?」と訊かれました。私は「グリム童話とナニワ金融道のような作品を目指します」と答えました。今も、その志は変わっていません。
2月8日
ソチオリンピック開会式を見ながら、またもやソファーで爆睡。気がついたら雪で外は真っ白! ソチは雪不足なのに……。譲ってあげたい。
2月11日
スノーボードハーフパイプの男子選手は、「夢」がつく名前が多い気がします。しかも、今回は、「歩夢」が2人も。姓名判断的に、どんな意味があるのでしょう。……そんなことを思っている間にも、銀メダルと銅メダルよ! それにしても、この銀銅コンビのインタビュー、まるで修行僧です。スノーボード=チャラ男というイメージがあったんですが、ほんと、ごめんなさい。
2月20日
真央ちゃん! 恐ろしい子(白目)。……真央ちゃんは、熱血スポーツ漫画、いやさらにその上をいくドラマを持っていて、つくづく、凄いです。こんなどんでん返し。梶原一騎(高森朝雄)原作のスポ根を見ているよう。試合には負けたけど“真っ白”に燃え尽きた「あしたのジョー」(ちばてつや作画 講談社)のようだし、命を削って魔球を投げた「侍ジャイアンツ」(井上こう作画 集英社)の番場蛮のようでもあります。
2月26日
「鳥取連続不審死事件」を追った『誘蛾灯』(青木理 講談社)を読書中なんですが、この事件と同時期に起きた「首都圏連続不審死事件」のK死刑囚がブログをはじめた模様。……うわ。その売れっ子女流作家然が、凄い。執筆依頼も取材依頼もひっきりなしで、パトロンもいるときた。たぶん、彼女の人生の中で、今が至福のときなのではないでしょうか。なにしろ彼女は、もう嘘をつくことなく「超有名」という冠と「超売れっ子」というステータスを手に入れたんですから。たぶん、彼女が一番欲しかったもの。……『毒婦。』(北原みのり 講談社文庫)を再読したくなりました。
3月3日
ここ数日のランチのお供は、『もっと厭な物語』 (夏目漱石他 文春文庫)。今日のランチはシェフおすすめコースにしてみたんですが、そのメインがよりによって、骨付きラム。しかも、「恐怖の探求」を読んでいる途中でやってきました。……ひぃぃぃ。
3月10日
本日のランチのお供は、『読み出したら止まらない! 国内ミステリー マストリード100』(千街晶之 日経文芸文庫)。古今東西の名作に紛れて、私の作品も紹介されているのを発見!「きゃ☆」と年甲斐もなく可愛く叫んでしまいました。
(日販発行:月刊「新刊展望」2014年6月号より)