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パンダ銭湯
パンダ専用の銭湯が、実は存在していた。今、明かされるパンダのひみつ。あなたの知らないパンダの世界がここにある。ポップな色の魔術師・tupera tuperaが描く、パンダの絵本。
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2014年 2月号

【特集】 大人も楽しい絵本の世界

この絵本作家に注目!

[インタビュー]tupera tupera │ [ブックガイド]tupera tupera全作品紹介
[インタビュー]絵本ナビ 代表取締役社長 金柿秀幸 │ [エディターズガイド]白泉社 「MOE」編集長 八巻健史

tupera tupera (ツペラツペラ)
亀山達矢(1976年三重県生まれ)と中川敦子(1978年京都府生まれ)によるユニット。2002年より活動を開始。絵本やイラストレーションをはじめ、工作、ワークショップ、舞台美術、アニメーション、雑貨など、様々な分野で幅広く活動している。NHK Eテレの工作番組「ノージーのひらめき工房」のアートディレクション担当。著書に『木がずらり』『12の星のものがたり』『かおノート』『アニマルアルファベットサーカス』『やさいさん』『くだものさん』『タコさんトコトコどこいくの?』『さんかくサンタ』『ぼうしとったら』『しろくまのパンツ』『いろいろバス』『パンダ銭湯』『tupera tuperaのわくわくワークショップ』『うんこしりとり』『どこどこハート』『みんなそれぞれ』ほか多数。2013年、『しろくまのパンツ』と『パンダ銭湯』は以下を受賞した。
しろくまのパンツ』 第18回日本絵本賞読者賞/第2回静岡書店大賞(児童書・新作部門)2位/第6回MOE絵本屋さん大賞3位
パンダ銭湯』 第3回街の本屋が選んだ絵本大賞グランプリ/第2回静岡書店大賞(児童書・新作部門)大賞/第6回MOE絵本屋さん大賞6位

いま巷で話題の絵本『パンダ銭湯』をご存知ですか? 作者は、亀山達矢さんと中川敦子さんのご夫婦ユニット「tupera tupera」。お二人のアトリエを訪ね、お話をうかがってきました。

tupera tuperaって?

―「tupera tupera」とはユニークなユニット名ですが、どんな意味や由来があるのですか?
亀山 自分で創ったおまじないの言葉。特に意味はなく、響きが気に入って付けた名前です。後々、「ツペラ」はスウェーデン語で「髪を逆立てる」だと知って、それも意外といいなと思ってます。もともとは二人で組んで作っていた服飾雑貨のブランド名。絵本を作る予定は当初ありませんでした。
―お二人のどちらが何を担当するといった形は決まっているのですか?
中川 私はテキスタイル出身、彼は絵を描きたい人だったので、私がミシンを踏んで彼の絵でオリジナル雑貨を作るというのがスタートでした。でも今は正確な区切りはないです。絵もアイデアも文章も、二人で。
亀山 アイデアや顔を作るのは僕、色合わせや構成は彼女が担当するのがなんとなく多いけど。絵本に限らずいろいろな活動をしつつ、二人で相談しながら表現しているという感じです。
中川 作品によっても違って、混ぜこぜでどちらが作ったかわからないようなものもあれば、『パンダ銭湯』みたいな分業もありますし。

パンダの秘密を暴露してしまった?!

―では、『パンダ銭湯』のお話を聞かせてください。パンダの知られざる秘密がいま明らかに……という衝撃の展開が大人にも楽しい絵本です。どんなきっかけで生まれた作品なのでしょうか?
亀山 5年前のある日、テレビを見ていたらパンダが出てきて、一瞬、何か違って見えたんです。「こいつ、胡散臭い」。これのどこがかわいいのか。みんな騙されてる。この秘密を暴露したいと。ところが、僕個人は盛り上がったのですが、彼女を含めてまわりは当初あんまり乗り気じゃなくて……。
中川 そのうち、引き出しの奥に埋もれてしまったんです。
亀山 自分でも急激にやる気をなくしたタイミングがあったんです。それは、パンダのしっぽが白だと知ったとき。黒だと思ってラフを描いていたのに、実は白だと。なぜ進化の過程でここを黒にしなかったのか! 本当に残念な動物です。
中川 こんなに要所要所を黒にしているのに、なぜ? デザイン的にポイントですよ、しっぽは。
亀山 シマウマはデザイン的に100点、パンダは80点かな。それでやる気が失せて数年放置。
中川 そのラフが去年偶然出てきて、久しぶりに見てみたらおもしろいなあと思ったんですね。
亀山 僕たちの絵本は、普段は全部貼り絵で作っています。でも今回はどうしても背景をリアルな銭湯にして、手前に怪しいパンダを貼るということをやりたかった。
中川 それで今回は珍しく分業になりました。背景のデッサンを私が描いている隣で、彼はせっせとパンダを100頭くらい作って……。
亀山 きつかったです。10日間ずーっと白と黒のパーツを作り続け。
中川 パンダ修行みたいに。
亀山 さすがに嫌になりました。パンダはもういい。
中川 私は久しぶりのデッサンが楽しかったです。でも、いつもの私たちのカラフルな絵本と違って、今回は落ち着いた色味で手法も変えて、これが受け入れてもらえるか確信がないままの出版でした。
亀山 僕は、5年間黙っていた秘密をこの絵本でばらすことができたので、とにかくすっきりしました(笑)。

絵本に感じる可能性

―『パンダ銭湯』の技法は、お二人のこれまでの絵本とは違うものだったんですね。
亀山 でも、いつも技法ありきではないです。まず発想とアイデアがあり、それがあるべき形から技法を考えます。技法を決め打ちして絵本を作っていくのは好きではない。一つの発想とアイデアにきちんと向き合って、そのものがどうあるべきかというところから始めなければ、ものづくりとしてつまらない。それは僕たちのスタンスです。たとえば『うんこしりとり』だって、アイデアとして「うんこしりとり」があり、それを1冊にどうまとめるかを考え抜いて作る。簡単に出来ているように見えるかもしれませんけど(笑)。
―お二人にとって絵本は、そして絵本のお仕事はどんなものですか?
亀山 絵本が幹で、他の仕事が枝分かれしています。一つの筋道として絵本がある。絵本を作って新しい発想が生まれることは多いです。
中川 絵本はすごく懐が深いし、可能性を秘めていると思います。あかちゃんからお年寄りまで誰もが楽しめて、言葉がわからなくてもおもしろさは伝わるから。先日、フィンランド人のお客様を迎えたんですが、『パンダ銭湯』をとても気に入ってくれました。ほとんど英語に訳すこともできず日本語のまま読みましたが、すごく受けて。これは北欧で出版してもいけるかな(笑)。
亀山 僕たちの1歳の息子も、今いちばんよく見ている絵本は『パンダ銭湯』です。
中川 こればっかり。
亀山 パンダと認識しているわけではないけど、白黒のメリハリがいいのかな。
中川 絵本から枝分かれしていろいろなお仕事が出来るのは本当に楽しくて、たくさんの方が関わって熱い気持ちでやっている舞台やテレビのお仕事などはすごく刺激になるし、自分たちの次の仕事に跳ね返ってくると思います。
亀山 僕は子どもの頃に絵本を読んでいないので、絵本を作りたいという気持ちもなかったし、絵本にあまり思い入れはなかったんです。でも今は絵本が非常に楽しくて、可能性を感じる。たくさんの人に気軽に見て楽しんでもらえることも絵本の良さですね。
中川 絵本って不思議なものですよね。立ち読みでも簡単に読めてしまうけど、買って手元に置いて何度でも読んで。子どもは毎日でも繰り返して読むし、大人も、しばらく経つとまた開いてみたくなったりして。

コミュニケーションツールとしての絵本

―これまでの絵本作品の中で特に思い入れのあるのはどれですか?
亀山 思い入れは全部にありますが、『木がずらり』は、最初に作ったものだからやはり特別ですね。
中川 自費出版で一から全部自分たちで作ったんです。私たちの絵本の原点はここにあると思います。
(編集部注:『木がずらり』は、私家版の後にピエ・ブックスから出版され、現在は、復刊されたブロンズ新社版が流通している。)
亀山 僕たちの代表作の一つでもある『かおノート』も思い入れは大きい。ここから、ものづくりの感覚が少し広がった感じがします。僕たちはワークショップを開催することが多いんですが、参加者の人が、自分で作った『かおノート』を持ってきてくれることがあります。
中川 私たちの著書なんだけど、その人自身の手で仕上げた本だから、みんな自慢げに見せてくれるんです。
亀山 みんなでやっているんだなと思って、ものを作る意味を実感します。
―これから、どんな絵本を作りたいと思われますか?
中川 読者の方からメールをいただいたことがあります。「子どもが入院することになり、子どもも私もとても不安でした。でも『かおノート』があったおかげで、親子が笑顔で過ごせました。ありがとうございます」と。私は「こちらこそありがとう!」という気持ちになりました。その方とお子さんが笑い合っていた空間に、自分たちの作品が居たことがすごくうれしかったんです。そういう、みんなが笑っているところに居られるものが作れたらいいなと思います。
亀山 東日本大震災の避難所で、子どもたちが『かおノート』で作ったおもしろい顔を見て大人も思わず笑顔になったという話を聞きました。そんなコミュニケーションのツールになるとは思ってもみなかった。退職される方へ寄せ書き代わりに『かおノート』をみんなで作って贈るという使い方もされているそうです。
中川 絵本にパンツをはかせる『しろくまのパンツ』も、コミュニケーションが生まれる絵本です。『うんこしりとり』も(笑)。
亀山 『うんこしりとり』は本を閉じてからがスタートなんです。そこからみんなでうんこしりとりをしてもらうためにこの絵本がある、遊びの取扱説明書。そんな形で、読んだ後に何かが発展するものを作っていきたいです。

(2013.12.11)

(日販発行:月刊「新刊展望」2014年2月号より)

[インタビュー]tupera tupera │ [ブックガイド]tupera tupera全作品紹介
[インタビュー]絵本ナビ 代表取締役社長 金柿秀幸 │ [エディターズガイド]白泉社 「MOE」編集長 八巻健史

tupera tuperaアトリエ風景

 
「僕たち、仕事ではパソコンを一切使いません。最後まで全部アナログ。パソコンは家に置いてあって、アトリエには電話もパソコンもないんです」(亀山)
 
コンクリート打ちっぱなしの壁にあらゆるものが貼られている。「いただいたお手紙や、仕事の資料、制作中のメモなど……何でも壁に貼っちゃうんです」(中川)
 
天井まである大きなガラス窓から緑がたくさん見えるロケーションです
 
ノージーだ!   (取材日は12月だったので)本棚の上は『さんかくサンタ』を主役にクリスマスモード

Web新刊展望は、情報誌「新刊展望」の一部を掲載したものです。

新刊展望 2014年2月号
【主な内容】
[特集] 大人も楽しい絵本の世界
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