2013年 4月号
三上延En Mikami
「仕事関係の本と机とパソコン。全部突っ込んだ」六畳間の書斎兼仕事場。「去年夏までは四畳部屋。さすがに狭くて引っ越しました」。引っ越し荷物の大部分は本だったそう。天井突っ張りのスチール棚4本に、前後2列ぎっしり。さらにキッチンと居間にも本棚がある。新刊と古書が混在でおよそ5000冊。「資料は買わざるを得ないから否応なく増えていきますね。際限がないので、買ったら同じ量を処分して、入り切らない本は増やさない方針。もっと広いところにまた引っ越したいです」
古書店勤務の経験を活かし、自身が好きな本を題材にして綴る『ビブリア古書堂の事件手帖』。絶大な人気を誇る同作は、登場した本や作家(『時計じかけのオレンジ』、小山清など)が注目されるきっかけも生んでいる。最新刊第4巻で取り上げたのは江戸川乱歩。「前巻の執筆中から資料を読んできたのに、調べても調べても終わらなくて。長い時間がかかりました」。ファンは待った甲斐あり。乱歩の作家性や独特の雰囲気も投影されて豊潤な物語世界が広がる、シリーズ初の長編だ。
一日の仕事は「朝9時前後からファミレスで」スタートさせる。「自宅に居ると集中し始めるのに苦労するんです。読みかけの本や漫画、映画、ゲームなど誘惑が多いから(笑)」。まずはそれらのものがない場所に身を置き、仕事モードが出来上がる昼過ぎにこの書斎に帰ってきて、続きを進めるというパターン。「資料が必要になるので、外で一日中書いているわけにもいかなくて。ただ、仕事のスタイルは徐々に変えているから、いずれは違った形になるだろうと思います」
(日販発行:月刊「新刊展望」2013年4月号より)