2011年 12月
藤原新也Shinya Fujiwara
東京・新宿にあるエプソンの「プライベートラボ」は、日本最大のプリントができるレンタルスペースだ。同所で新刊『書行無常』の発売に際して開かれる展覧会の準備に忙しい藤原新也さんを訪ねた。
『書行無常』は、藤原さんが日本、中国、インドの現場≠旅し、その場で感じた言葉を〈居合い抜きのごとく〉書いた書(メッセージ)と写真、文章で構成されている。
8か月に亘る「週刊プレイボーイ」での連載中は、毎週「週刊独特の呼吸感で突っ走った」。事件現場から連載終了間際に起こった東日本大震災まで、日本の現在を写し出す「いわばドキュメント」であると同時に、そのメッセージと奥行きのある写真は見るものの五感を揺り動かす。パワー漲る圧巻の書だ。
今回開催される展覧会の写真は最大6メートル×3メートル。書は最大5メートル四方と藤原さんのこれまで行ってきた展覧会としては最大の規模となる。不況、大震災、放射能、と打ち沈んだ空気を吹き飛ばす、「見れば元気」な展覧会にしたいという。
「エプソンの機械が好きで、20年くらい前から使っている」という藤原さん。背後にあるのは1.5メートル幅対応の大判プリンターだが、自身も1メートル幅対応のものを所有。東京の自宅のほかに、房総にも30年ほど前から仕事場を構え、書や絵など詰めて作品に取り組むときは房総を利用することが多い。展覧会「藤原新也の現在 書行無常展」は11月27日(日)まで、3331 Arts Chiyodaにて開催。
(日販発行:月刊「新刊展望」2011年12月号より)
今月の作品
- 書行無常
- 書×写真×言葉、藤原新也が筆で吼える。AKB48劇場、宮崎口蹄疫、人間書道、上海万博、ガンジス火葬、そして東日本大震災。現場で書し、写し、吐き出した言葉の軌跡が1冊に。「週刊プレイボーイ」連載を書籍化。