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特集・対談

しろうさぎとりんごの木
しろうさぎが生まれた森の中の小さな家では、必要なものはなんでもそろっていた。げんかんのわきには、りんごの木もあり、秋になると、まっかなりんごの実がなった…。小さなうさぎの、小さな幸せを描いた絵本。
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ちょうちょ
ちょうちょはどこにでもいかれる。きのうをとびこえきょうをくぐりぬける。江國香織のみずみずしい言葉と第1回白泉社MOE絵本グランプリ受賞作家が織りなす詩情あふれる絵本。
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ぼくだよぼくだよ
らいおんとひょうが、「ぼくの牙のほうが鋭いよ」「ぼくの筋肉のほうが強いよ」と競い合ううち、空を飛び、水にもぐり、あらしになり、太陽になり…。空想が膨らみ、大胆で元気がでる絵本。
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カエルのおでかけ
どしゃぶりの天気に喜び勇み、ピクニックに出かけるカエル。大雨の中、デッキに横たわり、サングラスをかけて…。今注目の絵本作家・高畠那生が、何もかもあべこべな世界を描いた、とびきりユーモラスな絵本。
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いくらなんでもいくらくん
城下町に突然あらわれた、「なんでも屋」と名乗る謎のいくらのおすし。その想像をはるかに超える「なんでも屋」ぶりに、お殿様はもうメロメロ…。いくらとシゲタサヤカの無限の可能性を感じられる絵本。
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2014年 2月号

【特集】 大人も楽しい絵本の世界

絵本がくれる、豊かな時間を楽しもう

[インタビュー]tupera tupera │ [ブックガイド]tupera tupera全作品紹介
[インタビュー]絵本ナビ 代表取締役社長 金柿秀幸 │ [エディターズガイド]白泉社 「MOE」編集長 八巻健史

金柿秀幸 Hideyuki Kanagaki
株式会社絵本ナビ代表取締役社長。1968年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。大手シンクタンクに勤務後、2001年、愛娘の誕生にあわせて退職。約半年間、子育てに専念した後、ゴールデン・サン(現・株式会社絵本ナビ)を設立し、代表取締役社長に就任。02年、絵本選びが100倍楽しくなるサイト「絵本ナビ」をオープンし、事務局長に。03年、「パパ’s絵本プロジェクト」を結成、全国で絵本おはなし会を展開中。雑誌など各メディアにて絵本紹介、講演など多数。NPO法人ファザーリング・ジャパン初代理事。著書に『幸せの絵本』『幸せの絵本2』『幸せの絵本 家族の絆編』『大人のための絵本ガイド』 『絵本であそぼ!子どもにウケるお話し大作戦』(共著)がある。

絵本の試し読みができる、参加型の絵本・児童書情報サイトとして人気の絵本ナビ(https://www.ehonnavi.net/)。同社の代表を務める金柿秀幸さんは、子どもと絵本を読むことを楽しむ「パパ’s絵本プロジェクト」のメンバーであり、仲間とともに、全国各地で「パパの出張絵本ライブ」を開催しています。自身が絵本好きになったのも、子育てを始めた「大人になってから」。大人だからこそ心を揺さぶられる、絵本の奥深さをよく知る1人です。今回は、2013年に発売された絵本の中から、金柿さんおすすめの5作品をピックアップ。1冊1冊を声に出して味わいながら、その魅力と大人ならではの絵本の楽しみについて、語ってくださいました。

2013年おすすめの5冊@『しろうさぎとりんごの木

絵は、その独自のタッチで大人にも大人気の酒井駒子さん。石井睦美さんの文章は、昔からある絵本のようなやわらかな言い回しが素晴らしく、物語のリズムもとても懐かしい感じがします。読んでいて、ロングセラーの名作のような安心感がありますね。
お母さんの作ったジャムで初めてりんごを知ったうさぎの子は、りんごをかじってみたくて仕方ありません。そこで、お母さんに内緒で庭のりんごの木の下まで1人で出かけていきます。さて、うさぎの子がかじりついたのは……という、うさぎの子とお母さんのやりとりがかわいらしい物語です。
大人の読者にとって、絵本は情報を得るためのツールではなく、「絵本を読む」というかけがえのない時間を過ごすためのもの。この絵本は、うさぎの子とお母さんの会話をゆったり読んでいくうちに、絵本の楽しさと、絵本を読む時間の豊かさを感じることができます。こういう作品に出会うとうれしくなりますね。

2013年おすすめの5冊A『ちょうちょ

美術作家である松田奈那子さんの絵は芸術性が高く、(登場する)猫のたたずまいや果物の瑞々しさ、微妙なデフォルメの仕方など、趣きがあります。
一羽のちょうちょは羽をひろげ、女の子の髪飾りになり、猫のあたまに優しくとまり、ゆびわにもなってみる。やがて窓から飛び出して、大きい世界を遊びつくします。江國香織さんの詩的な文章がとても素敵で、鳥肌が立つようです。その文章と、1場面1場面の色遣いや構図がよくマッチして、これぞまさしく「絵本」という感じがします。
こういった、抽象的で本質的な絵本ならではの表現は、大人も子どもも強く心に響きます。子どもにとっては、おそらくいまは「ふうん」という話かもしれません。しかし、こういった言い回しや表現、色彩感覚はどこかに残るのではないかと思います。
子どもが自分で文章を書いたり物語を創る時は、自分の持っているボキャブラリーや物語のストックの中から、イメージを引き出してくることが多いのではないでしょうか。「おじいさんとおばあさんが住んでいて、こうなりました」というストーリーが、誰の中にもあるように。
そういった子どもたちのストックの中に、この絵本のような、それまでにない表現が入ってくると、表現の幅は大きく広がるでしょう。谷川俊太郎さんの詩や絵本もそうですが、「こうくるか」という言葉の展開が、大人も子どもも、その人の心のライブラリーの幅を広げてくれる。そんな気がします。

2013年おすすめの5冊B『ぼくだよ ぼくだよ

ぼくだよ ぼくだよ』も、素朴で構図が大胆な、クオリティの高い作品です。〈らいおん〉と〈ひょう〉が「ぼくの きばのほうが するどいよ」「ぼくの きんにくのほうが つよいよ」と競い合ううちに、空を飛んだり、嵐になったり。〈らいおん〉のオレンジと〈ひょう〉の黄色など、色のコントラストがはっきりしていて、ページからはみ出しているような力強さがあります。木の上から俯瞰するような場面もその感じが良く出ていて、ダイナミックさに圧倒されます。体の模様で遠近感を表すなど、デフォルメされた不思議な表現ですが、イキイキとした作風が魅力。最後に2頭が「気持ちいいね」と言って終わるのですが、仕事や人間関係に疲れて帰った夜に開きたいような1冊です。
著者のきくちちきさんは、2012年のデビュー。『ぼくだよ ぼくだよ』が3作目の作品です。この先さらに楽しみな作家さんのひとりですね。

2013年おすすめの5冊C『カエルのおでかけ

個人的にも大好きな、高畠那生さんの作品です。
カエルにとっては、どしゃぶりほどいい天気。うきうきとピクニックに出かけます。全身びしょぬれになって大雨を楽しみますが、やがて雨が上がると……。あべこべの世界がユニークな、子どもが好きそうなストーリーでありながら、「こう描きたいから描いている」という、子どもにおもねっていない感じがします。コンセントの形がカエルだったり、絵の中に落書き(?)のようなものが残されているなど、著者ならではの遊び心も。空間の描き方がダイナミックで、構図や色遣いが大人好みでおしゃれ。外国のような世界観も魅力ですね。

2013年おすすめの5冊D『いくらなんでもいくらくん

最後はシゲタサヤカさんの作品です。町外れにできた「なんでもや」のあるじは、イクラのおすし〈いくらくん〉。城に連れて来られた〈いくらくん〉は、お殿様のリクエストに応えて、季節外れのブドウやきれいな桜など、〈いくらくん〉ならではの方法でなんでも出してくれます。しかし季節がめぐり、夏になると……と、どう評していいのかよくわからないのですが(笑)、脱力系でいいですね。
シゲタさんには『オニじゃないよおにぎりだよ』という作品があり、絵本ナビではオリジナルTシャツを作りました。キッズ、メンズ、レディスの各サイズを用意しましたが、メンズはあまり売れないのではと思っていたところ、メンズとレディスは完売し、キッズサイズだけが残っているほど大人のファンが多い作家さんです。ジャンルにとらわれない、不思議ワールドといった作風で、「絵本好き」の大人の女性からすると「たまらない」という感じのようですね。

いま注目の絵本ジャンル

絵本の世界はロングセラーの作品が中心になりがちですが、新刊も年間1000タイトル以上が発売され、次世代のロングセラーを狙った作品が出ています。新しい作家も続々登場していますので、絵本ナビが絵本と読者の方のつなぎ手となれるよう、試し読みやサイン本の販売などと合わせて、新刊の魅力をお伝えしています。
サイトにいらっしゃる方は、子育て中のお母さんが圧倒的に多いですが、「大人におすすめ」というジャンルも好評です。子育て中のお母さん方の中には、立場はママだけれども、自分自身が絵本大好きという方も多くいらっしゃいます。子どものためにというよりは、「私のため」に本を選んでいらっしゃるような傾向も見受けられますね。
最近人気のジャンルとしては、『ちいさなあなたへ』(主婦の友社)や『ちょっとだけ』(福音館書店)に代表されるような「ママが泣ける絵本」があります。「子どもを産んでよかった」「子育ては大変だけど幸せ」ということを感じさせてくれる絵本がここ5年くらいで注目を集めています。
また、「ナンセンスのセンス」を持った作家の方の活躍も目立っています。今回紹介したシゲタサヤカさんもそうですが、2013年の日本絵本賞大賞やMOE絵本屋さん大賞新人賞を受賞したミロコマチコさんも、抽象的な世界と絵の力が魅力で、今後さらなる活躍が期待できる作家さんですね。
今回選んだ5作品は図らずもすべて日本の作品ですが、酒井駒子さんや高畠那生さんなど、海外の絵本のような雰囲気を持った作品もおすすめです。

大人ならではの絵本の効用

とかく現代社会は、仕事に子育てにと時間に追われる中で、元来自分が持っている優しい気持ちが心の隅っこに追いやられてしまいがちです。絵本を開くことで、その優しい気持ちが元の場所に戻ってくる、気持ちを整えてくれる。そんな効用があるのではないかと思っています。
加えて社会のデジタル化によって、スマートフォンやパソコンとの毎日の接触時間が長くなっています。その中で、絵本というアナログの媒体を手に取って、紙の手触りやページをめくる音とともに絵本を楽しむひとときは、とても貴重なものになってくるのではないでしょうか。
絵本ナビはサイトで試し読みができるサービスも大きな特徴です。まずは中身を知ってもらい、紙の本にたどり着くお手伝いができればと行っています。サイトで全ページを読んだ後でもその絵本を購入される方が多いのは、「1度読んだら終わり」ではない、何度も読み返す絵本だからこそだと思っています。
本そのものの内容はもちろん大切ですが、絵本好きの方が求めているのは、絵本を読むことで過ごせる「幸せな時間」なのではないでしょうか。もしかすると、普段絵本とかかわらずに過ごしている方の方が、手に取って、紙をめくっているときに得られる気持ちの変化は大きいかもしれません。子どもはもちろん、より多くの大人の方にも、ぜひ絵本とともに過ごす心地よさを味わっていただきたいですね。

(2013.12.3)

(日販発行:月刊「新刊展望」2014年2月号より)

[インタビュー]tupera tupera │ [ブックガイド]tupera tupera全作品紹介
[インタビュー]絵本ナビ 代表取締役社長 金柿秀幸 │ [エディターズガイド]白泉社 「MOE」編集長 八巻健史

Web新刊展望は、情報誌「新刊展望」の一部を掲載したものです。

新刊展望 2014年2月号
【主な内容】
[特集] 大人も楽しい絵本の世界
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金柿秀幸さんにとっての「トクベツな3冊」

だいじょうぶだいじょうぶ
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いとうひろし
金柿秀幸さんのコメント
典型的な九州男児かつ企業戦士で、「男が絵本?」だった亡き父が、僕の薦めで購入し、とても気に入っていた絵本。孫娘が生まれ、おじいちゃんとして幸せな晩年を過ごしました。その後脳梗塞で倒れ意識不明となったとき…

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