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特集・対談

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本のおかわりもう一冊 桜庭一樹読書日記
読むことは祈ること。本があれば大丈夫。3・11を越え、被災犬との暮らしが始まり…。相変わらずヘンテコな編集者たちに囲まれ、今日もサクラバカズキは小説を書き、書店をパトロール。好評読書魔作家日記第5弾。
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無花果とムーン
あたし、月夜は18歳。紫の瞳を持った、無花果村のもらわれっ子。誰よりも大好きだったお兄ちゃんに死なれてから、あたしはどうもおかしくて…少女の思いが世界を塗り替える。
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伏―人であって人でなく、犬の血が流れる異形の者―による凶悪事件が頻発し、幕府はその首に懸賞金をかけた。ちっちゃな女の子の猟師・浜路は兄に誘われ、江戸へ伏狩りにやってきた。伏をめぐる、世にも不思議な因果の輪。
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傷痕
この国が20世紀に産み落とした偉大なるポップスターが急死。彼が残した愛娘をめぐり、大人たちの欲望と思惑が交錯する…。
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ブルースカイ
660円
1627年、魔女狩りの嵐が吹き荒れるドイツ・レンスで10歳の少女マリーは、「アンチ・キリスト」と遭遇する。2022年、近未来のシンガポールで、青年のディッキーは、かつて絶滅したはずの「少女」という生物と出会う。そして、2007年―。
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2012年 11月号

【読書週間インタビュー特集】 この作家と、本の話

「著者とその本」コーナーを拡大して、新刊インタビューを3本お届けします。いずれも、読書のよろこびを改めて感じさせてくれる本ばかり。そこに込められた著者の想いをお聞きください。

桜庭一樹『本のおかわりもう一冊 桜庭一樹読書日記』 │ 誉田哲也『幸せの条件』 │ 道尾秀介『ノエル a story of stories』

桜庭一樹 Kazuki Sakuraba
1999年「夜空に、満天の星」(『AD2015隔離都市 ロンリネス・ガーディアン』に改題)で第1回ファミ通えんため大賞に佳作入選。〈GOSICK〉シリーズで多くの読者を獲得。『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』が高く評価される。07年『赤朽葉家の伝説』で第60回日本推理作家協会賞、08年『私の男』で第138回直木賞受賞。『ブルースカイ』『少女七竈と七人の可愛そうな大人』『青年のための読書クラブ』『荒野』『ファミリーポートレイト』『製鉄天使』『道徳という名の少年』『』ほか著書多数。

桜庭一樹『本のおかわりもう一冊 桜庭一樹読書日記』

大の読書家としても有名な桜庭一樹さん。人気エッセイシリーズ《桜庭一樹読書日記》の第五弾が刊行された。東京創元社のWebマガジン〈Webミステリーズ!〉で連載がスタートしたのは2006年(現在も隔月連載中)。以来、「本のある日常」を綴り続けてきた桜庭さんである。

「このエッセイを書き始めてから、自分の読書が整理されたと思います。それまで無自覚に読んでいたのが、〈自分はこういうのが好きなんだな〉〈こういうものはきちんと読まずにきた〉と気づいたこともあります。好きなものばかり偏って読んでしまうのを、いろいろ読んでみようと意識したり、編集さんから『これが好きならこれも好きなのでは?』と薦めてもらったり。深まるものもあれば、食わず嫌いだったのが広がることもありました。エッセイを読んでくれた方にも、ヒントになればいいなと思います」

本のおかわりもう一冊』に収録されているのは、2010年8月から2011年12月の読書日記。すなわち、「3・11」の前と後、である。3月11日には、地震直後、本を抱えて近くの公園に避難したこと、仕事場に戻り津波の報道をテレビで見て、〈でも映像がすごすぎて、数字が大きすぎて、なかなか心の奥に入ってこな〉かったことなどが記されている。結びの一文は、〈本を読まずに、寝た〉。

「何年かぶりに、一冊も読まずに寝た日でした。その数日後に編集さんと会ったとき『今、本を読めますか』という会話をしたのも覚えています。でも、今何を感じたか、何を読んでどうなったか、それは今書いておかないと忘れてしまうと思って……」

その後、〈被災地とは比べるまでもなく日常を送れている。恵まれている〉けれど、以前と同じようには「読めない」日々の記録が続いていく。読書を楽しむことが〈どうしてもうまくできない〉のは、心が、感情が、ついていかなかったからだ。

「しばらく、リアリズムの強いものが読めなくなりました。これぞエンタメ!な娯楽作を欲していたみたいで、シドニィ・シェルダン『ゲームの達人』は、心乱されることなく楽に読めました。今なぜこれを読み返す?と思ったけど(笑)。以前はおもしろく読んだ筒井康隆さんのブラック・ユーモア短編集が読めなかったり、吉行淳之介さんの短編集は大丈夫だったり。時期によって、読めるものと読めないものがありました」

《読書日記》シリーズには、本や読書に対する桜庭さんの「愛」が詰まっている。それを感じるのも醍醐味の一つだ。愉快な編集者たちとの日常や、バリエーション豊富なブックガイドを楽しく読み進めていくと、桜庭さんの「生の思い」ともいうべき言葉に突如出会い、心を揺さぶられることになる。

「普段からいろいろ考えているけど、この巻は特に生の気持ちが出ていたかも。読むこと自体がいつもと違って自由ではなかったこともあり、改めて考えたこと、感じたことは多いと思います。人からいろいろな考えや意見を聞くこともありました。『今は小説を書いている場合なのか』『今こそ書くべきだ』、地震についてもすぐ書くべきだという人もいれば、何年も経ってからだという人もいて。書くとはどういうことなのか、自分でも考えました。会う人会う人に『今後書くものは変わりますか』と聞かれて、いろいろ考えて、やっぱり思ったのは、フィクションは必要だということです」

6月の日記には、〈(小説を読むことは)人の祈りの声に耳を澄ます行為で、同時に、なにかを強く願うことなんだ〉との言葉がある。

「前にインタビューで『なぜ小説を書くのか』と聞かれたとき、とっさに『祈るため』と答えたことがあるんです。ノンフィクションは、問題を提示して世界に直接的に働きかけ、変えようとするものだと思う。では小説はというと、社会の問題を直接書いて訴えるものではない。ただ世の中と密接に結びついてはいる。それは何だろうと思ったとき、その問題について書くことで少しでも良くなるように自分は祈っているのではないかと。地震の後、読んでいてもそれを感じることがありました。著者の祈りみたいなものをすごく直接的に感じたんです。だから読むこともまた、書く人の祈りを感じて一緒に祈ることだと。別の時間に別の場所で同じ本を読んでいる人の祈りの声も聞こえるように感じました。そうやってみんなで祈ることが、本を読んだり書いたり作ったりすることなのではないかと思ったんです」

名作再読の楽しさを発見するくだりも印象的だ。

「若いときに読んでピンとこなかった本をもう一度読むとおもしろかったり、おもしろかった本は再読して同じ自分を発見したり。新刊も読みたいけど、知っているつもりで実は読んでいない古典とか、昔読んで記憶がろくなものじゃない名作とか(笑)、すごく好きだったものももう一回読みたい。先日、書店の岩波文庫の棚の前で、60代の夫婦が学生時代に読んだ本の話をしていました。今は若い人が読みやすいように新訳もたくさん出ていますが、人生の折り返し地点を過ぎて、昔読んだ古典名作をもう一度読みたいと思っている人も多いんじゃないかな。自分もそろそろやってみたいです」

読書の楽しさと可能性は無限大! そんなメッセージも体現しながら、《読書日記》シリーズはこれからも続く。一部書店では、今作に登場した本を週替わりで紹介するフェア「走って!帰ってきた!桜庭ほんぽっ!!」を開催中(※)。通常は同じ棚に並ぶことのない多彩な本が一緒になる楽しさは、桜庭さんのセレクトならでは、なのである。
(2012.9.14)
※開催書店…紀伊國屋書店新宿本店、オリオン書房ノルテ店 10月30日まで。

(日販発行:月刊「新刊展望」2012年11月号より)

桜庭一樹『本のおかわりもう一冊 桜庭一樹読書日記』 │ 誉田哲也『幸せの条件』 │ 道尾秀介『ノエル a story of stories』

Web新刊展望は、情報誌「新刊展望」の一部を掲載したものです。続きは「新刊展望」2012年11月号で!

新刊展望 11月号
【主な内容】
[懐想] 森 まゆみ 千駄木の漱石
[インタビュー特集] この作家と、本の話 桜庭一樹・誉田哲也・道尾秀介
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