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自他が尊重される<場>を問う
大阪公立大学出版会 地方・小出版流通センター 岡村知子
点
第1部 文学が生まれる場所(音更村の生産関係に分け入る―久保栄「火山灰地」論;深層/表層の郷土と善悪の基準―太宰治『津軽』論;彼の“そば”に内在する“喜び”―金達寿「番地のない部落」論;閉ざされた集落に見る演戯と始原―津島佑子『生き物の集まる家』論;アジアをめぐる“再話”の可能性―津島佑子『笑いオオカミ』論;台湾の地に見る生と死の円舞―津島裕子『あまりに野蛮な』論;ドイツの仕立て屋を媒介する語り―村上春樹「レーダーホーセン」論)第2部 鳥取の地から(杉原一司の短歌・歌論を読む―同人誌を足場とした創作方法の模索と実践;杉原一司の書簡と関連作品を読む―モノと他者をめぐる“抒情性”への屈託;岡本愛彦のラジオドラマを読む―尊ばれた生命を生きることの背理;小谷治子のラジオドラマを読む―故郷と異郷の間で引き裂かれつつ書くこと;徳永進のエッセイを読む―医療者が患者について語ることの意義;松本薫の純文学作品を読む―家の内部と社会をつなぐ創造力の在処)
本書は、文学作品の舞台となっている地域や、作品が生み出される〈場〉に着目しつつ、一九三〇年代以降、現代にかけて著された小説や戯曲、短歌やラジオドラマの精読を試みたものである。第一部では、久保栄や太宰治、金達寿、津島佑子、村上春樹の作品を取り上げ、過酷な労働環境や戦時下における郷土と植民地、ジェンダー非対称な社会構造において浮かび上がる、自己と他者をともに尊重することの(不)可能性について追究した。同様の観点から第二部では、鳥取にゆかりのある書き手(杉原一司や岡本愛彦、小谷治子、徳永進、松本薫)の著した作品を読み解いた。国家や地域、家族といった、個人を内包する共同体を単位として利害を追求することは、避けがたく人権侵害を生じさせる。それらを即座に解体させることが不可能である以上、共同体に内在/外在する暴力に向き合う個々人の相貌を批評的に描き出す文学作品は、日々新たに読み直されるべきであろう。
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1位
又吉直樹
価格:1,320円(本体1,200円+税)
【2015年03月発売】
一覧を見る
[BOOKデータベースより]
第1部 文学が生まれる場所(音更村の生産関係に分け入る―久保栄「火山灰地」論;深層/表層の郷土と善悪の基準―太宰治『津軽』論;彼の“そば”に内在する“喜び”―金達寿「番地のない部落」論;閉ざされた集落に見る演戯と始原―津島佑子『生き物の集まる家』論;アジアをめぐる“再話”の可能性―津島佑子『笑いオオカミ』論;台湾の地に見る生と死の円舞―津島裕子『あまりに野蛮な』論;ドイツの仕立て屋を媒介する語り―村上春樹「レーダーホーセン」論)
[日販商品データベースより]第2部 鳥取の地から(杉原一司の短歌・歌論を読む―同人誌を足場とした創作方法の模索と実践;杉原一司の書簡と関連作品を読む―モノと他者をめぐる“抒情性”への屈託;岡本愛彦のラジオドラマを読む―尊ばれた生命を生きることの背理;小谷治子のラジオドラマを読む―故郷と異郷の間で引き裂かれつつ書くこと;徳永進のエッセイを読む―医療者が患者について語ることの意義;松本薫の純文学作品を読む―家の内部と社会をつなぐ創造力の在処)
本書は、文学作品の舞台となっている地域や、作品が生み出される〈場〉に着目しつつ、一九三〇年代以降、現代にかけて著された小説や戯曲、短歌やラジオドラマの精読を試みたものである。第一部では、久保栄や太宰治、金達寿、津島佑子、村上春樹の作品を取り上げ、過酷な労働環境や戦時下における郷土と植民地、ジェンダー非対称な社会構造において浮かび上がる、自己と他者をともに尊重することの(不)可能性について追究した。同様の観点から第二部では、鳥取にゆかりのある書き手(杉原一司や岡本愛彦、小谷治子、徳永進、松本薫)の著した作品を読み解いた。国家や地域、家族といった、個人を内包する共同体を単位として利害を追求することは、避けがたく人権侵害を生じさせる。それらを即座に解体させることが不可能である以上、共同体に内在/外在する暴力に向き合う個々人の相貌を批評的に描き出す文学作品は、日々新たに読み直されるべきであろう。