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[BOOKデータベースより]
1 北海道稚内からサハリンへ向かう(稚内からコルサコフ、ユジノサハリンスク、そして北緯50度線;1945年8月樺太に散った若き女性たちを偲ぶ:真岡、太平 ほか)
[日販商品データベースより]2 極北のロシアから中国シルクロードへ(間宮海峡からアムール川そしてハバロフスクへ;「−67.8度のまち」ベルホヤンスクそして真冬のシベリアを周遊する ほか)
3 越境する日本(ベトナム旧日本人町と台湾「慰霊の海」;台湾から与那国へ ほか)
おわりに―再び稚内へ(占守島:北海道を守った戦い;根室から礼文島:オホーツク海道)
旅にはストーリーが必要である。そこでこの写真集では,斉藤さんが暮らす稚内,つまり日本の最北端の境界地域を起点に,ユーラシアの陸と海をぐるっと廻り,稚内へと戻るツアーを表現することにした。すなわち,稚内から国境を越えてサハリンへ,サハリンを縦走し,ロシア本土に。そこからユーラシア最北の地域をめぐり,中露国境を越える。中国の境界域をめぐり,南へ。ベトナム,台湾,韓国,パラオから日本の境界域を見る。最後は太平洋からオホーツク海に戻り,千島列島を経て,稚内へ。この旅の醍醐味は,ボーダーのもつグラデーションを存分に味わえることだろう。風景は変わらないのに,暮らす人びとが国境を越えて突然変わる。つまり,同じ自然の中にさまざまな文化が見える。また人は変わらないのに,風景が大きく違う。あるときは青,あるときは赤,そして白や黒。写真でしか表現できないコントラストは,読者をボーダーツーリズムのもつ多様な色彩の世界に導くに違いない。
(「刊行によせて」より/北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授・岩下明裕)
* * *
日本の最北端の境界地域・稚内を起点に,ユーラシアの陸と海をまわって稚内へと戻る「端っこから始まる旅」をテーマにまとめた写真集。現地を旅した著者が自身の目で見て,耳で聞いて,身体で感じた多様性に満ちた境界地域の魅力を,写真と紀行文で切り撮る。