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[BOOKデータベースより]
維新派とは一体なんだったのか。あらわれる“劇場”、かわたれどきの言葉、さしだされた地図、たどる記憶、ながれる風景。
序 松本雄吉とその演劇
1 劇場×芝居(維新派のアジア―『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき』を中心に;維新派と一九二〇年代のドイツ・アヴァンギャルドたち;方向/演出を模索する―地図化、物質性、演劇生態;場所との対話―劇団維新派のサイトスペシフィック・パフォーマンス)
2 音楽×言語(『呼吸機械』(二〇〇八)―声とスケールの劇;すれちがいの意味論―維新派のことばと相互行為;記録メディアとしてのパフォーマンス台本に関する試論―維新派『nostalgia』の上演台本の創造性)
3 時代×都市(瞳は精神よりも欺かれることが少ない―大阪と美術家/松本雄吉の周辺をめぐって;立ち続けることの快楽―芸能史から見た維新派;No Country for Old Men―海外の視点から見た維新派;美術と演劇の間―具体美術協会と維新派との接点をさぐる;焼酎の入った透明の瓶;「わたしはこの町を知らない」―松本雄吉とノスタルジー)
4 旅×松本雄吉(ストリップ小屋の楽屋で熱中した、松ちゃんの「漢字当てゲーム」―松本雄吉との出会い、そして『日本維新派』;踊ろう、朝まで、その地図で。―演出家・松本雄吉(作品『PORTAL』を通じて);幻の維新派天草公演―松本雄吉の帰郷;様々な「所作」に関する断片的な記憶について)
大阪を拠点に活動してきた劇団「維新派」について、研究者や演劇人、建築家らによって多角的な視点から考察した書。演劇史、美術史(特に関西の前衛芸術)における維新派の立ち位置を分かりやすく概説するばかりではなく、維新派の文学的価値や音楽や言語・身体論、都市論からもその魅力に迫る。維新派の記憶と歴史を様々なかたちで後世に引き継ぐべく、維新派を読み解くひとつの鍵として提示し、理解を深める書を目指す。