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[BOOKデータベースより]
「たった一人の患者の心でも、ほんとうに知るのはなんとむつかしいことか。」エッセイ、論文、対談を収録。
第1部(ひととしごと;島の診療記録から;自殺と人間の生きがい―臨床の場における自殺;生きがいについて―生きているねうち(看護学生への講演);心に残る人びと;患者さんと死と;コラム「天窓」;自己の死と孤独;なぐさめの言葉;老人と、人生を生きる意味;沈黙の意味;医師が患者になるとき;対談・病める人と病まぬ人(押谷美恵子・外口玉子))
[日販商品データベースより]第2部(限界状況における人間の存在―癩療養所における一妄想症例の人間学的分析;人間学;「ピネル神話」に関する一資料;西洋臨床医学の生命観―M.フーコーの所説によせて)
〈弱者に対する強者の優越感というものは医療の場では極めて起こりやすいことで、しかも強者自身は案外気づいていないことが多いのではなかろうか。医療者も一度病人という弱者になってみるのが一ばん手っ取り早く、このことに気づく道かもしれないが、みんなにこの道をとられても困る。だから唯一の可能な道は「自分もまた病みうる者だ」「自分もまた死にうる者だ」ということを、絶えず念頭においておくことだろう。もうひとつ医療者が知らず知らず持ちやすい思いあがりの心は、「患者の心は何もかもよくわかっている」と思い込んでしまうことだろう。〉
(「医師が患者になるとき」より)
一人の人間どうしとして、患者と向き合う姿勢を貫いた精神科医・神谷美恵子。人間としての医療・看護・介護のあり方をみつめるエッセイ、論文、対談を収録する。
〈『ケアへのまなざし』が本書のタイトルだが、神谷さんのまなざしは、「目線」ではなく、このように身体全体で感じとられているもののように思う。そして何より、内なる呼びかけを実践的行為につなげてゆくお力をお持ちだった。〉(外口玉子「解説」より)