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[BOOKデータベースより]
過去を示す「た」で結ばれる文章の中に「る」「ある」など現在形の文章が混入することに、なぜ私たちは矛盾を感じないのか。それは、話者の意識に現前し、話者の現在に喚起される日本語特有の「過去」だからである。この生々しい現前を尊ぶ感性は、記述の根拠を話し手の“イマ・ココ”に置く視点を育み、話者の心の中に生起する物事を感受し合う言語文化を醸成してきた。“イマ・ココ”に始まるまったく新しい日本語論。
第1章 日本語の空間―話し手の「ココ」(膠着語としてのやまとことば;話し手の視点)
[日販商品データベースより]第2章 日本語の時間―話し手の「イマ」(「現実」を認知する感性;語りの「イマ」と物語の現在)
第3章 感性の共鳴―日本語の社会性(紫式部の構想力;他者への感情移入―能楽のワキ;物語の声―浄瑠璃の太夫)
第4章 語り手不在の「三人称小説」と作者の声(近代小説の「非文法」、あるいは日本語の「仮構」;短篇集『古譚』―中島敦の遺書;日本語の冒険)
日本語の文章の基準は発話の「イマ・ココ」にあって、それ以外にない。文中に遍在する「あり」を分析し明かされる日本語の深層。「イマ・ココ」に始まる、まったく新しい日本語論。