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共立出版 中根美知代
点
数学史上「19世紀は厳密化の時代」であったといわれるが、それは実際には何だったのか?今日学ぶ微積分学が形成される過程で、コーシーは何を成し遂げたのか。彼の考察はどこが不備で、以降の数学者はそれをどう補っていったのか。ワイエルシュトラスは、その積み上げの上でどんな措置をとったのか。ε‐δ論法を伴う数学的概念の形成過程という数学の進歩の一例を通し、数学とはどういうものかを伝える。
第1章 ε‐δ論法とその前史(なぜε‐δ論法は嫌われるのか;ε‐δ論法「前史」:極限と無限小をめぐって;ε‐δ論法をめぐる伝説)第2章 「伝説」の検討:コーシーと厳密な解析学、ε‐δ論法(『解析学教程』;『無限小解析概要』;コーシーが残した課題)第3章 一様性の概念とε‐δ論法(フーリエ級数と新しい関数概念;一様収束性の認識のはじまり;定積分の再構築とε‐δ論法)第4章 ワイエルシュトラスによる微分学の転換(ワイエルシュトラスの新しい体系:1861年の『微分学』講義;1861年に何が起きたか:「リーマンの関数」との出会い;いたるところ微分不能な連続関数)第5章 今日の枠組みへ(多変数関数に対する連続の定義と一様連続;ワイエルシュトラスの結果の再整理:今日の微積分学へ;新ε‐δ伝説)
ε-δ論法は、大学新入生にとっても教える側にとっても、大きな関門である。本書は、その歴史を振り返ることにより、この論法の理解を深めてもらうことを目的としている。今日にみられるような教程が整備されていく19世紀、とくにコーシーからワイエルシュトラスにいたる時期の、ε-δ論法による微積分学の歴史的発展に焦点をあてた。歴史研究の手法にしたがい、数学史での先行研究の成果を押さえた上で、19世紀に書かれた数学者の重要な著書・論文を分析し、得られた知見をまとめた。その結果、教科書の導入としてしばしばなされる「歴史的なお話」の信ぴょう性を問い、実際には何が起こっていたかをより説得的に伝えるものになっている。また、ε-δ論法はどのような動機で導入されたか、それによって、数学者の分析がどのように進み、新しい概念に達したか、このことに引き続いて、どのような新しい課題が提示されたか、その中でε-δ論法による微積分学はどのような影響を受けたかを具体的に示している。連続性・微分可能性、積分、2変数関数の連続性はもちろん、ε-δ論法でなければ捉えられないとされている、一様収束・一様連続が認識される過程については、とくに重点をおいて考察した。本書では、ある定理が証明され、反例があがり、それが修正されて、新しい定理とともに新しい概念が導かれるという過程がいろいろな場面で示されていく。数学とは動的なものであること、今日学んでいる数学が偉大な先人たちの試行錯誤の産物であるといった、歴史を知らなければ気づかない数学への新たな認識を呼び起こすこともまた、本書の意図である。
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1位
又吉直樹
価格:1,320円(本体1,200円+税)
【2015年03月発売】
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[BOOKデータベースより]
数学史上「19世紀は厳密化の時代」であったといわれるが、それは実際には何だったのか?今日学ぶ微積分学が形成される過程で、コーシーは何を成し遂げたのか。彼の考察はどこが不備で、以降の数学者はそれをどう補っていったのか。ワイエルシュトラスは、その積み上げの上でどんな措置をとったのか。ε‐δ論法を伴う数学的概念の形成過程という数学の進歩の一例を通し、数学とはどういうものかを伝える。
第1章 ε‐δ論法とその前史(なぜε‐δ論法は嫌われるのか;ε‐δ論法「前史」:極限と無限小をめぐって;ε‐δ論法をめぐる伝説)
[日販商品データベースより]第2章 「伝説」の検討:コーシーと厳密な解析学、ε‐δ論法(『解析学教程』;『無限小解析概要』;コーシーが残した課題)
第3章 一様性の概念とε‐δ論法(フーリエ級数と新しい関数概念;一様収束性の認識のはじまり;定積分の再構築とε‐δ論法)
第4章 ワイエルシュトラスによる微分学の転換(ワイエルシュトラスの新しい体系:1861年の『微分学』講義;1861年に何が起きたか:「リーマンの関数」との出会い;いたるところ微分不能な連続関数)
第5章 今日の枠組みへ(多変数関数に対する連続の定義と一様連続;ワイエルシュトラスの結果の再整理:今日の微積分学へ;新ε‐δ伝説)
ε-δ論法は、大学新入生にとっても教える側にとっても、大きな関門である。本書は、その歴史を振り返ることにより、この論法の理解を深めてもらうことを目的としている。今日にみられるような教程が整備されていく19世紀、とくにコーシーからワイエルシュトラスにいたる時期の、ε-δ論法による微積分学の歴史的発展に焦点をあてた。歴史研究の手法にしたがい、数学史での先行研究の成果を押さえた上で、19世紀に書かれた数学者の重要な著書・論文を分析し、得られた知見をまとめた。その結果、教科書の導入としてしばしばなされる「歴史的なお話」の信ぴょう性を問い、実際には何が起こっていたかをより説得的に伝えるものになっている。また、ε-δ論法はどのような動機で導入されたか、それによって、数学者の分析がどのように進み、新しい概念に達したか、このことに引き続いて、どのような新しい課題が提示されたか、その中でε-δ論法による微積分学はどのような影響を受けたかを具体的に示している。連続性・微分可能性、積分、2変数関数の連続性はもちろん、ε-δ論法でなければ捉えられないとされている、一様収束・一様連続が認識される過程については、とくに重点をおいて考察した。本書では、ある定理が証明され、反例があがり、それが修正されて、新しい定理とともに新しい概念が導かれるという過程がいろいろな場面で示されていく。数学とは動的なものであること、今日学んでいる数学が偉大な先人たちの試行錯誤の産物であるといった、歴史を知らなければ気づかない数学への新たな認識を呼び起こすこともまた、本書の意図である。